- 2022/02/20 掲載
米FRB、物価動向読み切れず=市場は利上げ加速予想
【ワシントン時事】米国の中央銀行に当たる連邦準備制度理事会(FRB)が2022年を通じ、利上げペースを加速させるとの観測が市場で強まっている。一方、FRB高官は金融政策の先行きについて「経済指標次第」と、慎重姿勢を崩さない。背景には、新型コロナウイルスの影響で大きく上振れしたインフレの動向を読み切れないことがありそうだ。
「3月の次回会合が適切だ」。ブレイナードFRB理事は18日、ニューヨーク市内での講演後の質疑応答で、利上げ開始時期を明言した。FRBが3月15、16日に開く連邦公開市場委員会(FOMC)で、事実上のゼロ金利政策を解除するのは既定路線と化している。
FOMCは年内、3月を含めあと7回予定されている。市場では、FRBがそのうち5~6回で政策金利を0.25%ずつ引き上げることが織り込まれ始めている。また、年内7回のFOMCすべてで利上げされるとの予想すら一部にある。
市場の強気な金利見通しを支えるのは、米国の高インフレと強い景気だ。1月のインフレ率は7.5%と、1982年以来40年ぶりの高水準を記録。同月の小売売上高も市場予想の倍の伸びとなり、コロナ変異株「オミクロン株」流行の中でも好調ぶりが確認された。
一方、シカゴ連邦準備銀行のエバンズ総裁は18日、「現在のインフレは主にコロナショックに関連した異例の供給制約によるもの」と指摘。コロナ流行が収まれば供給問題は落ち着き、インフレは低下するとの見方は根強い。
足元の高インフレを抑え込もうと、金融引き締めが行き過ぎれば、景気を腰折れさせる恐れがある。ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は16日の会合で、過度な利上げは景気後退を招くと懸念、「自分を含めたFOMCメンバーらに『やり過ぎるな』と戒めたい」と語った。
【時事通信社】 〔写真説明〕米連邦準備制度理事会(FRB)本部=2022年1月、ワシントン(EPA時事)
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