- 2025/12/17 掲載
アマゾン、OpenAIへ約1.5兆円規模の出資検討報道 、アマゾンのAI向けチップ「Trainium」採用も
アマゾンのAI向けチップ「Trainium」やAWS利用拡大に向けたパートナーシップ拡大か
出資動向は、OpenAIが非営利組織としての出発から営利目的の公益法人(public benefit corporation)への移行を進め、より多様な資金調達先を求める戦略の一環として捉えられている。OpenAIは2025年10月にMicrosoftとの関係を再構築し、Microsoftが保有する約27%の株式を維持しつつも、他社クラウドプロバイダーとの提携を可能とする企業構造に移行した。この変更により、競業他社であるアマゾンをはじめとした複数のインフラ供給元との関係構築が進む土台が形成された。
報道によれば、アマゾンとの交渉が成立すれば、OpenAIはアマゾンが開発するAI向けチップ「Trainium」やクラウドインフラを活用する方向で協力関係を深める可能性があるという。これは、OpenAIが従来重視してきたMicrosoft Azure以外のクラウド基盤を積極的に取り入れる方針を象徴するもので、クラウドインフラの多様化と資金調達力の強化を同時に実現する戦略と見られている。
一方で、交渉は流動的でありまだ最終合意に達していない。OpenAIもアマゾンも公式コメントは発表しておらず、検討段階にとどまっているとの認識が一般的だ。
アマゾンとOpenAIの関係強化は、2025年11月に両社が発表した大規模なクラウドインフラ協力とも関連している。OpenAIはアマゾンのクラウドサービス「Amazon Web Services(AWS)」と複数年にわたる戦略的パートナーシップを結び、380億ドル(約5.8兆円)規模の契約を発表した。この契約に基づき、OpenAIはAWSの大規模インフラ上でAIワークロードを運用する予定であり、数十万基の高度なGPUやサーバーリソースを活用することでモデルの学習・推論処理を拡大していく計画である。
このようなインフラ連携関係の中での資本参画の検討は、AWSがOpenAI向けインフラ提供パートナーとしての役割を強調するだけでなく、OpenAI側が複数の大手技術企業との協力関係を構築・強化する動きの一部と見られる。AI企業が巨大な計算リソースと資本力を必要とする現状において、こうした関係性は単なるインフラ供給を超えた戦略的提携へと発展する可能性を秘めている。
業界アナリストは、OpenAIの資金調達構造やクラウド戦略の多角化が、将来の株式公開(IPO)準備と資本市場へのアクセス能力の向上につながる可能性があると指摘している。OpenAIはIPOにより1兆ドル(約150兆円)規模の評価額を目指すとの観測もあり、今回の出資検討報道はその道筋の一端として注目されている。
ただし、出資交渉が依然流動的であることや、MicrosoftがOpenAIモデルのクラウド提供に関して排他的権利を保有している点など、解消すべき課題が残るとの指摘もある。そのため、実際に出資が実行に移されるかどうか、またどのような条件で合意が形成されるかは今後の動向を見守る必要がある。
この報道は、生成AI開発を巡る企業間の戦略的資本関係とインフラ競争が新たな局面を迎えていることを示しており、OpenAIを取り巻く技術・資本両面の競争環境に大きな影響を与える可能性がある。
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