- 2022/03/09 掲載
NY市場サマリー(8日)ユーロ上昇、米債利回り上昇 米株続落
<為替> ユーロが上昇。前日に対ドルで付けていた22カ月ぶり安値から戻した。欧州連合(EU)が今週にも債券の共同発行計画を発表するというブルームバーグの報道を受け、ユーロ圏がロシアのウクライナ侵攻による経済的な影響の軽減に向けて財政政策を強化するという観測がユーロを支援した。
また、欧州中央銀行(ECB)の理事会を10日に控え、ユーロ売りを控える動きとなった。
ブルームバーグの報道によると、EUが共同発行する債券は大規模となる可能性があるという。
米国時間の原油先物は約4%上昇。米国がロシア産原油の輸入を禁止したほか、英国が年末までに輸入を段階的に停止すると発表したことを受けた。ただ、北海ブレント先物は前日取引時間中に付けた14年ぶり高値を下回り、ユーロに対するセンチメント押し上げに寄与した。
終盤の取引でユーロ/ドルは0.5%高の1.0906ドル。
ユーロ/スイスフランは0.9%高の1.0134フラン。前日はパリティ(等価)水準を付けていた。ユーロは円やポンドに対しても上昇した。
主要通貨に対するドル指数は横ばいから小幅安の99.15。
ロシアの通貨ルーブルは前日、EBSで1ドル=160ルーブルまで下落し、過去最安値を更新していたものの、8日の取引では対ドルで5.9%高で推移した。
NY外為市場:[USD/J]
<債券> EUが大規模な共同債発行計画を発表する可能性があるとのブルームバーグ報道を受け国債が売られ、米10年債利回りが上昇した。原油高でインフレ高進が一段と進むとの懸念も利回りの押し上げ要因になっている。
米10年債利回りは11.2ベーシスポイント(bp)上昇の1.861%。前日は2カ月ぶりの低水準を付けていた。
この日は、バイデン米大統領がロシア産の原油や天然ガス、石炭の輸入を禁止すると表明。英国のジョンソン首相もロシアからの原油と石油製品の輸入を段階的に削減し、2022年末までに完全に停止すると発表したほか、EUはロシア産天然ガスの依存度を年内に約6割低下させ、「2030年よりかなり前に」依存をゼロにする計画を発表。 原油価格は一段と上昇した。
30年債利回りは8.2bp上昇の2.233%。2年債利回りは7.3bp上昇の1.621%。
2年債と10年債の利回り格差は23.8bp。前日は18.47bpと、2020年3月16日以来の水準に縮小していた。
財務省が実施した480億ドルの3年債入札は、応札倍率が2.39倍と平均を下回るなど軟調だった。
今週は9日に10年債(340億ドル)、10日に30年債(200億ドル)の入札が実施される。
この日発表の経済指標では、1月の貿易収支が輸入の増加に伴い赤字が前月比9.4%増の897億ドルに拡大し、過去最大となった。
米金融・債券市場:[US/BJ]
<株式> 荒い値動きの中、終盤に売りが加速し続落して取引を終えた。急速なペースで展開するウクライナ危機を巡る状況を評価する動きが背景。
前日には大幅続落し、ナスダック総合の弱気相場入りが確認されていた。
バイデン米大統領は8日、ロシア産の原油や天然ガス、石炭の輸入を禁止すると表明した。ウクライナに侵攻したロシアに対する圧力を高める。
ジョンソン英首相も8日、ロシアからの原油と石油製品の輸入を段階的に削減し、2022年末までに完全に停止すると発表した。
この日はディフェンシブセクターの下げが目立った。主要消費財は2.6%安、ヘルスケアは2.1%安、公益事業は1.6%安。
テスラ、メタ・プラットフォームズ、アルファベットなどグロース(成長)株は上昇し、S&P総合500種を下支えした。
エネルギーセクターは1.4%続伸した。
北海ブレント先物原油が1バレル=130ドルを上回り、インフレ加速や世界経済への影響を巡る懸念が高まっている。米ガソリン価格は8日、過去最高を記録した。
DAデビッドソンのウェルスマネジメント調査部門ディレクター、ジェームズ・レーガン氏は「米経済にどういった影響があるか、まだ不透明感が強い」と指摘。その上で「ガソリン価格上昇を受け、米国の消費はやや失速するだろう」と語った。
米株市場は、利上げ観測を背景にした債券利回り上昇やロシア・ウクライナ危機を巡る懸念に圧迫されている。前日にはダウ工業株30種も調整局面入りが確認された。
重機大手・キャタピラーは6.8%上昇。ジェフリーズが投資判断を「ホールド」から「バイ」に引き上げた。
米国株式市場:[.NJP]
<金先物> 米欧の対ロシア追加経済制裁の動きを背景に、4営業日続伸した。4月物の清算値(終値に相当)は前日比47.40ドル(2.37%)高の1オンス=2043.30ドル。2020年8月以来約1年7カ月ぶりに清算値で2000ドルを突破した。
NY貴金属:[GOL/XJ]
<米原油先物> 3営業日続伸。米国産標準油種WTIの中心限月4月物の清算値(終値に相当)は前日比4.30ドル(3.60%)高の1バレル=123.70ドルとなった。米国の対ロシア追加制裁による原油供給逼迫(ひっぱく)観測が強まる中で一時130ドル近くまで急伸したが、その後は売り買いが交錯し、上げ幅を縮めた。5月物の清算値は3.85ドル高の119.65ドル。
バイデン米大統領は8日、ウクライナに侵攻を続けるロシアへの追加制裁として、ロシア産の原油、液化天然ガス(LNG)などエネルギーの輸入を全面的に禁止すると発表。ロシアは米国とサウジアラビアに次ぐ世界3位の産油国。英国も原油輸入を年末までに打ち切る方針を表明した。原油供給不足への警戒感が一段と強まり、事前報道の段階から原油相場はじり高となり、4月物は一時129.44ドルまで買い進まれた。
ただその後、ウクライナがもはや北大西洋条約機構(NATO)加盟を主張しないとの一部報道をきっかけに、上げ幅を大きく縮小する場面があった。ただ、同報道は前日夜に放送されたゼレンスキー大統領の米メディアとのインタビュー発言を伝えたもので新しい話ではないと伝わり、急速に買い戻された。同大統領は8日、英議会で「最後まで戦う」と演説した。終盤にかけては利食い売りが出て再び124ドル近辺まで押し戻された。
NYMEXエネルギー:[CR/USJ]
ドル/円 NY終値 115.66/115.69
始値 115.63
高値 115.78
安値 115.43
ユーロ/ドル NY終値 1.0899/1.0903
始値 1.0890
高値 1.0958
安値 1.0873
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 100*21.50 2.2191%
前営業日終値 102*05.50 2.1510%
10年債(指標銘柄) 17時05分 100*10.00 1.8404%
前営業日終値 101*04.50 1.7490%
5年債(指標銘柄) 17時05分 100*15.00 1.7761%
前営業日終値 100*28.00 1.6910%
2年債(指標銘柄) 17時05分 99*25.75 1.6008%
前営業日終値 99*29.00 1.5480%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 32632.64 -184.74 -0.56
前営業日終値 32817.38
ナスダック総合 12795.55 -35.41 -0.28
前営業日終値 12830.96
S&P総合500種 4170.70 -30.39 -0.72
前営業日終値 4201.09
COMEX金 4月限 2043.3 +47.4
前営業日終値 1995.9
COMEX銀 5月限 2689.5 +117.5
前営業日終値 2572.0
北海ブレント 5月限 127.98 +4.77
前営業日終値 123.21
米WTI先物 4月限 123.70 +4.30
前営業日終値 119.40
CRB商品指数 309.1216 +4.8892
前営業日終値 304.2324
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