- 2022/04/18 掲載
リスクテークは一時休止、不透明感強く超長期債に逃避=22年度・富国生命運用計画
執行役員・財務企画部長の鈴木善之氏が18日、ロイターとのインタビューで述べた。
<逃避先は超長期債>
長引く低金利環境の中で、富国生命では、日本国債への投資には慎重である一方、外債や外国株など利回りの高い資産を増やしてきた。前年度(概算)では、円貨建て公社債は400億円増加したが、外貨建て公社債は800億円、エクイティ資産は700億円増加した。しかし、今年度はそのリスクテーク方針を一時中止する。
「リスクテークを行う中期方針に変更はないが、あまりに環境が不透明であり、一時的に流動性や安全性の高い資産に資金を逃避させる。環境の変化次第では、5月の決算発表時点で、運用計画を修正する可能性もある」と鈴木氏は話す。
資金逃避先の中心は日本の超長期国債だ。今年度の一般勘定資産はトータルで1500億円増える計画。外貨建て公社債を4000億円減少させるほか、一般貸付を300億円減少させ、計5800億円を振り向ける。日本の超長期債が4500億円、円建てクレジット資産が1000億円、それぞれ増加する計画だ。
「超長期債の利回りが1%あれば理想的だが、それなりに金利水準も上がってきた。流動性、安全性の観点から、資金をシフトさせる」(鈴木氏)という。
<円は安すぎる可能性も>
為替ヘッジ外債は減少計画だ。米短期金利の上昇で為替ヘッジコストが上昇しているため、収益性が低下したヘッジ外債を円貨建て公社債へのシフトや、一部オープン外債化する計画となっている。ただ、為替の見通しも不透明感が強いという。
今年度のドル/円の想定レンジは110─130円で、年度末は123円予想。日銀の政策変更は黒田東彦総裁が任期を迎える来年4月まではメーンシナリオではないが、一段の円安進行でインフレに拍車がかかれば、日銀が意図せざる金融引き締めを迫られる可能性もあるとみている。
「方向性はしばらく円安であろうし、急激な円安リスクもある。しかし、水準的には購買力平価などからみれば円は安すぎる可能性も大きい。中長期的な投資視点では外債投資には慎重にならざるを得ない」と、鈴木氏は指摘する。
<企業収益は厳しいとの見方>
株式などエクイティ資産への積極的な投資も一時休止する。今年度は、国内株は横ばい、外国株は100億円増の計画だ。「日本では、原材料価格が上昇する一方、消費者物価は抑えられており、価格転嫁が進んでいない。企業のマージンは厳しい」(鈴木氏)との見方だ。
一方、前年度は横ばいだった不動産は200億円の増加計画となっている。中長期にわたり安定した賃料収入が期待できる物件に投資するというスタンスに変更はないが、インフレヘッジとしての意味合いもあるという。
*22年度の相場見通し(レンジと年度末)は以下の通り。▼はマイナス。
日本国債10年物利回り ▼0.10―0.25%(年度末0.20%)
日本国債20年物利回り 0.20―1.00%(同0.70%)
米10年債利回り 2.00─3.00%(同2.70%)
日経平均 20000─30000円(同27000円)
米ダウ 30000─36000ドル(同34000ドル)
ドル/円 110―130円(同123円)
ユーロ/円 115―140円(同135円)
(伊賀大記 編集 橋本浩)
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