- 2022/05/10 掲載
為替市場動向や日本経済への影響、緊張感持って注視=鈴木財務相
[東京 10日 ロイター] - 鈴木俊一財務相は10日、外国為替市場でドル/円が20年ぶりの円安水準となっていることを受け、市場動向や日本経済への影響を緊張感を持って注視する考えを示した。来週の主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議で為替の状況を改めて説明するかは明言を避けた。同日午前の閣議後会見で語った。
鈴木財務相は為替について「20年ぶりの円安水準だが為替の安定は重要で、最近のような急速な円安進行は望ましくないと思っている」と語った。
日本政府として「為替市場の動向、それから日本経済への影響がどうなっていくのか緊張感をもって注視していく」とし、今後も、G7をはじめとする国際合意に基づき「米国などの通貨当局と緊密な意思疎通を図りつつ、政府として適切に対応していく」との考えも述べた。
米ワシントンで先月開かれたG7財務相・中銀総裁会議で鈴木財務相は「最近のやや急激な円安について説明した」ことを明らかにしていた。
閣議後の参院財政金融委員会では、熊谷裕人委員(立民)が訪米時に行われたイエレン米財務長官との会談内容を質し、鈴木財務相は「金融市場の動向、特にドル/円相場について議論した」と説明した。
そのうえで鈴木財務相は「為替についてこれまでの合意を維持していくこと、日米で緊密な意思疎通を図っていくことを確認した」とし、日米財務相会談で介入協議を行ったかなどを含め、「それ以上のことは控えさせていただく」と述べた。
為替水準そのものに関しては「コメントは控えたい」との答弁を繰り返した。円安の許容範囲を質問した浅田均委員(維新)には「円安の許容範囲というのは相場水準そのもので、コメントするのは控える」と応じた。
<政策異なり金利差拡大>
円安の背景となる日米金利差に関し、鈴木財務相は参院財金委で「中央銀行の金融政策だけでなく、いろいろな要因で決まる」と述べた。
日米金融政策を巡って「日銀による金融緩和の一環として長短金利操作のもとで長期金利がゼロ%程度で推移するよう、上限を設けず、必要な金額の国債買い入れを行うこととされている」とする一方、「米国では、足元の物価上昇を踏まえ利上げを含めて金融緩和を見直す動きが進み、こうした日米の金融政策の違いもあって足元で日米金利差が拡大している」との認識も示した。
鈴木財務相は「各国の金融政策は、それぞれの経済・物価・金融情勢に応じて実施されるもの」とし、日銀には「引き続き2%の物価安定目標の実現に向けて適切に金融政策運営が行われることを期待している」と語った。大塚耕平委員(国民民主)への答弁。
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