- 2022/05/14 掲載
NY市場サマリー(13日)ドル下落、株式上昇 利回り上昇
米労働省が13日発表した4月の輸入物価は前月比から横ばいだった。また、米ミシガン大学が13日発表した5月の消費者信頼感指数(速報値)は59.1と2011年8月以来の低水準を更新し、予想の64も下回った。ただドルへの影響は限定的だった。
米クリーブランド地区連銀のメスター総裁は13日、インフレがピークに達したと確実に判断するには「数カ月間」低下を確認する必要があると述べた。
FXストリート・ドットコムのシニアアナリスト、ジョセフ・トレビサーニ氏は「FRBに経済支援に向けた利下げの用意はなく、極めて異常な状況下で利上げしようとしている」と述べた。
ドル指数は0.143%安の104.610。序盤には105.01と2002年12月以来の高値を付けた。週間では6週連続高で年初来で最長となる。
ユーロ/ドルは0.18%高の1.0398ドル。一時1.0348ドルと17年1月3日以来の安値を付けた。
週間では過去6週間で5回目の下げ。ロシアのウクライナ侵攻による経済への影響とドル高が重しとなった。
日本円は0.76%安の1ドル=129.32円。ポンド/ドルは0.23%高の1.2227ドル。
円は週間で10週ぶりの上昇となる勢い。
暗号資産(仮想通貨)では、ビットコインが3.95%高の2万9670.89ドル。今週序盤には20年12月以来の安値を付けていた。
<債券> 国債利回りが上昇した。今週は新型コロナウイルス感染拡大が始まった2020年3月以来最も多くの資金が流入し、国債価格は大きく上昇(利回りは低下)していたが、ここにきて物価上昇が鈍化すると同時に、FRBが政策運営を誤るのではないかとの懸念も緩和している。
終盤の取引で10年債利回りは11.8ベーシスポイント(bp)上昇の2.935%。
労働省が朝方発表した4月の輸入物価は前月比から横ばい。石油価格の低下で食料品や他の製品の価格上昇が相殺され、上昇の予想に反して横ばいとなった。今週発表された4月の消費者物価指数と卸売物価指数も上昇が鈍化しており、インフレが緩和しつつある兆候が出ている。
アクション・エコノミクスのグローバル債券部門マネジング・ディレクター、キム・ルパート氏は「輸入物価は、石油価格の上昇緩和を背景としたプラスのサプライズだった」とし、インフレ率は前年比で低下していくと予想。ただ、債券相場は「インフレ懸念と成長懸念の間で揺れ動き、極めて不安定な取引になっている」と述べた。
30年債利回りは12.1bp上昇の3.092%。
2年債利回りは7.4bp上昇の2.597%。
2年債と10年債の利回り格差は33.4bp。
物価連動国債(TIPS)と通常の国債の利回り差で、期待インフレを示すブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は、10年物が2.732%。これは、インフレ率が向こう10年間は平均2.7%で推移するとの見方が市場で出ていることを示す。
<株式> 上昇して取引を終えた。インフレがピークアウトした兆候に安心感が広がる一方、連邦準備理事会(FRB)による金融政策引き締めで米経済がリセッション(景気後退)に陥るとの懸念もくすぶっている。
13日はここ数日で売られていた大型ハイテク株などが上昇を主導した。
もっとも週間ではS&P総合500種とナスダック総合は6週連続安。S&P500は2012年秋以来、ナスダックは11年春以来の最長の下げとなった。
ダウ工業株30種は7週連続安と、1980年冬以降で最長となった。
FRBのパウエル議長は12日、ラジオ番組のインタビューで物価安定こそ経済の根幹だと強調し、インフレ加速という最悪状況を避けるためにFRBが進める利上げで「多少の痛み」が生じることについて国民に理解を求めた。
チェース・インベストメント・カウンセルのピーター・タズ社長は、パウエル議長は「謙虚さと真剣さを同時に示した」と指摘。「多少の痛みを伴うことを認める一方でインフレ抑制にコミットしている」と述べた。
S&P500の主要11セクターは全て上昇。一般消費財が4.1%高と上昇率トップだった。
S&P500構成銘柄のうち458社が第1・四半期決算を発表。リフィニティブによると、そのうち78%が市場予想を上回った。
アナリストによる第1・四半期の増益率見通しは前年同期比11.1%増。第1・四半期末時点では6.4%増だった。
個別銘柄ではツイッターが9.7%安。米テスラ最高経営責任者(CEO)のイーロン・マスク氏は13日、ツイッター買収合意を、スパムや偽アカウントに関する詳細情報が得られるまで一時的に保留にしたと明らかにした。
テスラ株価は5.7%高となった。
金融サービスプラットフォームを手掛けるロビンフッド・マーケッツは24.9%高。暗号通貨取引所FTXの創設者兼CEOのサミュエル・バンクマン・フリード氏がロビンフッド株式7.6%を保有していることを明らかにしたことを受けた。
石油・ガス大手オキシデンタル・ペトロリアムは8.2%上昇。著名投資家ウォーレン・バフェット氏率いる投資会社バークシャー・ハザウェイによるオキシデンタル株の買い増しが材料となった。
ニューヨーク証券取引所では値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を3.73対1の比率で上回った。ナスダックでは2.91対1で値上がり銘柄数が多かった。
米取引所の合算出来高は133億2000万株。直近20営業日の平均は131億7000万株。
<金先物> 米金利の上昇やドルの堅調な値動きを眺めて売りが優勢となり、続落した。6月物の清算値(終値に相当)は前日比16.40ドル(0.90%)安の1オンス=1808.20ドルと、中心限月としては2月4日以来約3カ月ぶりの安値水準となった。週間では3.96%安。これで4週連続の下落。
<米原油先物> 欧州を中心とした根強いエネルギーの供給不安に加え、ガソリン先物や米国株の上昇を追い風に3営業日続伸した。米国産標準油種WTI6月物の清算値(終値に相当)は前日比4.36ドル(4.11%)高の1バレル=110.49ドルと、中心限月としては3月25日以来7週間ぶりの高水準となった。週間では0.66%上昇。7月物の清算値は4.23ドル高の108.63ドルだった。
ドル/円 NY終値 129.19/129.22
始値 128.95
高値 129.45
安値 128.88
ユーロ/ドル NY終値 1.0411/1.0415
始値 1.0387
高値 1.0415
安値 1.0351
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 95*27.50 3.0877%
前営業日終値 98*03.38 2.9710%
10年債(指標銘柄) 17時05分 99*17.50 2.9276%
前営業日終値 100*16.00 2.8170%
5年債(指標銘柄) 17時05分 99*13.75 2.8741%
前営業日終値 99*27.25 2.7820%
2年債(指標銘柄) 17時05分 99*26.63 2.5883%
前営業日終値 99*30.63 2.5220%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 32196.66 +466.36 +1.47
前営業日終値 31730.30
ナスダック総合 11805.00 +434.04 +3.82
前営業日終値 11370.96
S&P総合500種 4023.89 +93.81 +2.39
前営業日終値 3930.08
COMEX金 6月限 1808.2 ‐16.4
前営業日終値 1824.6
COMEX銀 7月限 2100.1 +22.8
前営業日終値 2077.3
北海ブレント 7月限 111.55 +4.10
前営業日終値 107.45
米WTI先物 6月限 110.49 +4.36
前営業日終値 106.13
CRB商品指数 308.5804 +4.5248
前営業日終値 304.0556
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