- 2022/06/02 掲載
NY市場サマリー(1日)指標好調でドル上昇・利回り急伸、株続落
<為替> 好調な米経済指標を受け、ドルが対ユーロで上昇した。ユーロ圏ではインフレ率が過去最高となったことで成長見通しに対する懸念が出ており、ユーロ相場の重しになっている。
終盤の取引でドルは対ユーロで約0.8%高。
この日発表の米経済指標では、米供給管理協会(ISM)の5月の製造業景気指数が56.1と、4月の55.4から上昇。労働省の4月の雇用動態調査(JOLTS)では、求人件数が減少したものの、レイオフ・解雇件数は過去最低となり、労働市場が引き続き引き締まった状態にあることが改めて示された。
ユーロ圏では、欧州連合(EU)統計局が前日に発表した5月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値が前年同月比8.1%上昇し、再び過去最高を更新。米経済指標が好調だったことで、ユーロに対する圧力が高まった。
豪ドルは0.2%高。オーストラリアの第1・四半期の実質国内総生産(GDP)は前年比3.3%増と、前期の4.2%から伸びが鈍化した。輸入の急増や悪天候が響いた。
カナダドルは対米ドルで約6週間ぶりの高値を更新。カナダ銀行(中央銀行)は政策金利である翌日物金利の誘導目標を50ベーシスポイント(bp)引き上げ、1.5%にすると発表。インフレを目標水準に戻すために「必要に応じて一段と力強く」対応する用意があると表明した。
英ポンドは0.89%安。成長見通し悪化に対する懸念が重しになっている。
暗号資産(仮想通貨)のビットコインは5.2%安の3万0126.36ドル。5営業日ぶりに低下した。
NY外為市場:[USD/J]
<債券> 不安定な取引の中、国債利回りが2週間ぶりの高水準を付けた。経済指標が好調だったことで、連邦準備理事会(FRB)の積極的な金融引き締めを背景に米経済がリセッション(景気後退)に陥るとの懸念が後退した。
10年債利回りUS10YT=RR>は一時2.951%と、2週間ぶりの水準に上昇。終盤の取引では9.5ベーシスポイント(bp)上昇の2.9387%。
2年債利回りも一時2.674%と、2週間ぶりの高水準を付けた後、終盤の取引で12.6bp上昇の2.6659%。
5年債利回りも一時2.952%と、2週間ぶりの高水準。終盤の取引では13.4bp上昇の2.9433%。
レイモンド・ジェームズ(テネシー州メンフィス)の債券調査部門マネジング・ディレクター、エリス・ファイファー氏は「利回りは今後も上昇を続けるが、ペースは鈍化する」と予想。短期債利回りはFRBの利上げペースに連動するとの見方を示した。
終盤の取引で30年債利回りは2.2bp上昇の3.0779%。
利回り曲線は平たん化。2年債と10年債の利回り格差は26.7bpと、前日の28.10bpから縮小した。
米金融・債券市場:[US/BJ]
<株式> 続落。この日発表された経済指標を受け、FRBがインフレ抑制に向けた積極的な利上げサイクルを軌道修正することはないとの見方が強まった。
この日はFRB当局者の発言にも注目が集まった。サンフランシスコ地区連銀のデイリー総裁は1日、FRBが高インフレに対応するため、50ベーシスポイント(bp)刻みの利上げを数回実施し、年末までに金利を2.5%に引き上げるという見通しを示した。
ジャニー・モンゴメリー・スコットのチーフ投資ストラテジスト、マーク・ラスチーニ氏はこの日発表された経済指標について、「FRBが金利政策で積極姿勢を弱めるような材料は見当たらなかった」と述べた。
S&P主要11セクターではエネルギーが唯一上昇。原油価格の上昇を背景に1.8%高となった。
下げが最もきつかったのは金融で1.7%安。ヘルスケアは1.4%安、主要消費財は1.3%安。素材と不動産はともに1%超下落した。
メタ・プラットフォームズは終盤に売りが加速して2.6%下落、S&P総合500種を押し下げた。シェリル・サンドバーグ最高執行責任者(COO)が自身のフェイスブックへの投稿で、退任する意向を明らかにした。
顧客管理ソフト大手セールスフォースは9.9%値上がり。通期の業績見通しを引き上げ、不透明な経済状況から大きな影響は受けていないとの認識を示した。
米国株式市場:[.NJP]
<金先物> インフレヘッジ手段である金塊の需要が高まり、小反発した。中心限月8月物の清算値(終値に相当)は前日比0.30ドル(0.02%)高の1オンス=1848.70ドルだった。
EUが5月30日にロシア産石油の輸入禁止で合意したことを受け、供給逼迫(ひっぱく)観測から原油相場が上昇。高インフレが長期化し、景気が減速するとの懸念が根強い。このため、インフレヘッジの手段としてのほか、安全資産としての側面から金が買われやすかった。
NY貴金属:[GOL/XJ]
<米原油先物> 需給逼迫への警戒感から買いが入り、反発した。米国産標準油種WTIの中心限月7月物の清算値(終値に相当)は、前日比0.59ドル(0.51%)高の1バレル=115.26ドル。8月物は0.81ドル高の112.72ドルだった。
EUは5月30日、対ロシア制裁の第6弾として、同国産石油の輸入禁止で合意。ロシアへの依存度が高いハンガリーなどの反対で決定が遅れていたものの、輸入量全体の約3分の1を占める陸上パイプライン経由分を対象から除外することで折り合った。
また、中国の上海市がこの日から経済活動の正常化に動きだし、同国のエネルギー需要が回復するとの見方も逼迫懸念を高め、朝方以降は買いが活発化。7月物は午前の早い 段階で一時117.87ドルの高値を付けたが、その後はドル上昇に伴う割高感などを嫌 気した売りが出て、終盤に上げ幅を縮めた。
一方、市場では、有力産油国による生産調整を巡って臆測が交錯。米紙ウォールストリート・ジャーナルは31日、関係筋の話として、石油輸出国機構(OPEC)は生産 能力が低下しているロシアを石油生産協定から除外し、他の加盟国が増産に向けて準備を 進めていると伝えたが、1日はこうした動きを否定する報道もあった。OPECプラスは 翌2日に会合を開き、7月以降の生産方針について協議する見通し。
NYMEXエネルギー:[CR/USJ]
ドル/円 NY終値 130.11/130.14
始値 129.42
高値 130.18
安値 129.22
ユーロ/ドル NY終値 1.0646/1.0650
始値 1.0715
高値 1.0730
安値 1.0628
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 96*11.00 3.0623%
前営業日終値 96*14.50 3.0570%
10年債(指標銘柄) 17時01分 99*22.00 2.9113%
前営業日終値 100*08.50 2.8440%
5年債(指標銘柄) 17時05分 98*21.00 2.9160%
前営業日終値 99*04.75 2.8090%
2年債(指標銘柄) 17時05分 99*22.88 2.6477%
前営業日終値 99*29.50 2.5400%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 32813.23 -176.89 -0.54
前営業日終値 32990.12
ナスダック総合 11994.46 -86.93 -0.72
前営業日終値 12081.39
S&P総合500種 4101.23 -30.92 -0.75
前営業日終値 4132.15
COMEX金 8月限 1848.7 +0.3
前営業日終値 1848.4
COMEX銀 7月限 2191.5 +22.7
前営業日終値 2168.8
北海ブレント 8月限 116.29 +0.69
前営業日終値 115.60
米WTI先物 7月限 115.26 +0.59
前営業日終値 114.67
CRB商品指数 320.0230 +3.4879
前営業日終値 316.5351
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