- 2022/06/22 掲載
「痩せ我慢」限界=PB、コスト高騰が逆風―大手スーパー
イオンがプライベート・ブランド(PB)の一部値上げに踏み切る。消費者の節約志向に応えようと、大手スーパー各社は「価格据え置き」を懸命にPRしてきた。しかし今、原材料などあらゆるコストが高騰。各社の「痩せ我慢」(岡田元也イオン会長)は限界に達しつつある。
日本の食品スーパーは企業数や店舗数が多いため価格競争が激しく、わずかな値段の差が客足に直結する。近頃はどの店もメーカー商品の価格がじわじわと上昇しているが、「客は値上げ幅の小さい店を探す」(大手スーパー)のが実態だ。
PBは、1960年代の高度経済成長期に「価格破壊」を掲げたダイエーが先駆けだ。自ら価格決定権を持ち、利益率の高いPBを他スーパーも競って開発。かつては非協力的だった大手メーカーも、スーパーの販売力を前に多くが生産を請け負うようになっている。
しかし、円安進行が原料高に拍車を掛け、生産コストはかつてない水準まで上昇している。イオンや西友はあえてPB価格を据え置いてきたが、生産委託先のメーカーにコスト削減の余力はもはやない。PBの安さの源泉である広告費や中間物流費の抑制だけでは価格維持が困難になりつつある。
値上げが拡大すれば、消費者はオーケー(横浜市)など安さが売りのディスカウントスーパーに流れる可能性がある。大手スーパー幹部は「品ぞろえや品質など、価格以外の部分も磨かなくては生き残れない」と危機感を強めている。
【時事通信社】
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