- 2022/07/26 掲載
不採算路線、見直し本格化=地域住民との交渉難航も―鉄道各社
ローカル鉄道の在り方を議論してきた国土交通省の有識者検討会が25日、見直し協議の対象路線を選定する際の目安を開示した。これを受け、鉄道各社は不採算路線の廃止も視野に自治体などとの交渉を本格化させる。ただ、生活の足としてローカル線を活用する地域住民らの反発は強く、交渉は難航も予想される。
検討会が示した協議入りの目安は、1キロ当たりの1日平均利用者数(輸送密度)が1000人未満の区間など。国交省の2019年度の鉄道統計年報によると、全国のJR路線約180のうち全区間平均で輸送密度がこの水準をクリアしていないのは約2割に上る。また、全体で目安を超える路線でも、一部区間に限れば輸送密度が1000人に達していない例も少なくない。
さらに20年度以降は、コロナ禍で多くの路線で乗客が減少。22年3月期連結決算はJR東日本、JR西日本、JR東海の3社がそろって2年連続の赤字を計上した。今後、利用者がコロナ禍前の水準に戻る保証はない上、人口減少による採算の悪化が加速する懸念もある。鉄道各社は不採算路線の問題について「今議論を始めなければ手遅れになる」(関係者)と危機感を強める。
JR西日本は4月、利用が少ない17路線30区間の収支を公表。JR東日本も近く同様の発表を行う予定で、検討会が開示した目安についても「一定の方向性が示された」と評価する。しかし、ローカル線の存廃は地域住民の生活に直結する。JR東は「地域との丁寧な対話を重ねてきた協議スタンスに大きな変化はない」とも強調、自治体や住民などの意向も踏まえながら慎重に交渉を進める考えだ。
【時事通信社】
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