- 2022/07/26 掲載
ISIDとエステック、次世代モビリティのバーチャルシミュレーション拠点を開設
開設するVDX Studioは、温室効果ガス排出ゼロに向けクルマづくりが大きく変化する中、自動車メーカーやサプライヤーだけでなく、モビリティビジネスに携わる幅広い企業を対象に、実車試験に基づく高精度なシミュレーションモデル・ソフトウエアと、実車走行さながらの体感ができるハイスペックなドライビングシミュレータの両方をあわせて提供する日本初のレンタル型スタジオです。
VDX Studioでは、ドライバーや歩行者の危険を伴うテスト、気象条件や時間帯によって変化する車両の挙動やドライバーの感性など、実車では困難なテストを容易に条件変更しながら繰り返し実施することが可能です。実車が存在しない開発初期段階でサービスや機能の妥当性を体感・検証することで、開発の手戻りを減らすだけでなく、映像・音・振動・コンテンツが一体となった実車さながらの走行テストを通じ、顧客体験や人間の感性を重視した新たなモビリティや関連製品・サービスの創出をサポートします。
■背景
モビリティ業界は、次世代技術やサービスの新たな潮流であるCASE(※1)やカーボンニュートラルへの対応に向け、従来の延長線上にない革新的な機能やサービスを短期間で製品化し、市場投入する傾向が顕著となっています。加えて、消費者の志向がモノからコトにシフトしていることから、顧客体験や人間の感性を重視した開発も同時に加速しています。しかし、これまで快適性や利便性など乗り手の感性に関わる評価は実車開発後の行程で行われることが多く、新たな機能やサービスが市場でどのように受け止められるかを開発初期段階に確かめることは難しい状況でした。
この課題を解決する施設として、ISIDのシステムインテグレーション力と、エステックの強みである実験と解析を統合したエンジニアリング力を組み合わせ、VDX Studioを開設します。再現性の高いドライビングシミュレーションにより、実車のない開発初期段階において、音響や振動を含めたドライバーのリアルな体験を再現し、ダイナミックな検証を行えます。例えば、EVなどの制御ロジックの感性評価や室内空間の快適性評価、歩行者飛出しなど危険シーンのシナリオに基づく自動運転ロジックの安全性検証、企画段階の新機能コンセプトの妥当性評価などが想定されます。VDX Studioの活用により、EVなどの次世代モビリティや関連製品開発のフロントローディング(※2)を実現します。
※1 CASE:100年に1度の変革期にあるといわれる自動車産業の新たな潮流で、次世代技術やサービスを意味する4つの英語の頭文字をつなげた造語。Connected(コネクテッド)、Autonomous/Automated(自動化)、Shared(シェアリング)、Electric(電動化)を指す。
※2 フロントローディング:製品開発プロセスの初期工程にリソースを投じ、今まで後工程で行われていた作業を前倒しで進める手法。できる限り早い段階で多くの問題点やリスクを洗い出し、対策を講じることで、初期段階から設計品質を高めることができる。
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