- 2022/08/22 掲載
中国、景気悪化に危機感=7カ月ぶり利下げ―効果に限界も
【北京時事】中国の習近平指導部が景気の急速な悪化に危機感を強める中、中国人民銀行(中央銀行)が22日、7カ月ぶりの利下げに踏み切った。5年に1度の共産党大会を今秋に控え、当局は景気下支えを急ぐ構えだが、経済の先行き不安から国内の資金需要は伸び悩んでおり、金融緩和の効果は限定的とみられている。
人民銀は事実上の政策金利に当たる最優遇貸出金利(LPR)1年物を0.05%下げ、過去最低の3.65%に設定。住宅ローン金利の目安となる5年物も3カ月ぶりに0.15%引き下げ、4.30%とした。
国務院(内閣)は18日に開いた会議で「実体経済への金融支援を強化する」方針を決定。市場では当局が今後、金融緩和を一段と強化するとの見方も出ている。
ただ、資金需要の動向を示す社会全体の新規資金調達額は7月、前年同月比で約3割減と低迷。新型コロナウイルスの感染拡大を徹底的に抑える「ゼロコロナ」政策が企業の投資意欲などに響いているためで、「景気回復には利下げのみでは不十分」(エコノミスト)との声も上がる。
利下げに伴う物価高も懸念材料だ。ロシアのウクライナ侵攻を受けたガソリンや食料品の値上がりで、中国でもインフレが徐々に高進。失業率が高止まりする中、さらなる物価高は社会の混乱を招く可能性もある。一方、欧米はインフレ対策で金融引き締めを進めており、金利差拡大による資金流出も気掛かりだ。中国当局は難しい政策判断を迫られている。
【時事通信社】
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