有事やインフレに強い安全資産とされる金（ゴールド）の人気が、国内で高まっている。ロシアによるウクライナ侵攻や世界的な物価上昇の影響で、金の小売価格は４月に過去最高値を付け、その後も高水準で推移。販売大手の田中貴金属工業（東京）では、堅調な取引が続いている。

金１グラムの小売価格（税込み）は年初に７５００円前後だったが、２月のウクライナ侵攻後に急上昇。４月に８９６９円の最高値を付けた。

世界的指標のニューヨーク金先物相場もいったん上伸したものの、現在は侵攻前の水準に下落。一方、田中貴金属の小売価格は為替の円安急進もあって高止まりし、８５００円前後を維持する。

同社によると、今年初めは値上がりした金を売る顧客が全体の７割超。しかし、ウクライナ危機の収束が見通せないなど不透明感が漂う中、最近は「一度売った後、次の購入機会をうかがう人も多い」（広報担当者）とし、６割超が購入客だ。

市場価格の高騰はさまざまな金製品にも響く。仏具販売のはせがわでは、仏壇に手を合わせる時に鳴らす「おりん」などの金製仏具は「資産としての性質が強く、金相場に連動する」（広報）といい、年初に比べ８～１４％値上がりした。

【時事通信社】 〔写真説明〕人気が続く金地金＝１９日、東京・銀座の「ＧＩＮＺＡ

ＴＡＮＡＫＡ」