• 2022/09/20 掲載

コロナ禍機に収益多角化=LCCやドローン物流―日航・再上場10年

時事通信社

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経営破綻した日本航空が東証に再上場してから19日で10年となった。8月に亡くなった京セラ創業者・稲盛和夫氏仕込みの経営手法を実践し、安定的に利益を稼ぎ続けてきたが、新型コロナウイルス禍の需要減少で業績が悪化。ビジネスクラスでの出張客がドル箱となっていた航空事業の事業構造が裏目に出る中、収益源を多角化しようと、格安航空会社(LCC)やドローン物流など新領域の開拓を急ぐ。

日本航空は2010年1月に会社更生法の適用を申請し、株式は同年2月に上場廃止となった。再建に向け官民ファンドの企業再生支援機構が支援し、会長には稲盛氏が就任。不採算路線撤退など大幅なコスト削減に加え、稲盛氏が提唱する「部門別採算制」や経営哲学を取り入れて意識改革を進めた。破綻前の09年3月期に631億円の赤字だった連結純損益は12年3月期に1866億円の黒字と急回復し、上場廃止から約2年7カ月で再上場を果たした。その後も順調に利益を上げてきた。

だが、20年春以降の新型コロナ感染拡大で国内外の旅客需要が激減。日航の21年3月期連結純損益は2866億円の赤字と再上場後初めて赤字に陥った。行動制限解除などに伴い、23年3月期は純損益が3年ぶりに黒字化する見通しだが、移動需要がどこまで回復するかはまだ見通せない。

日航は再上場から10年を迎え、「感謝の気持ちを持ち続け、次の10年に向けた新たな価値創造に挑戦したい」と意気込みを示すコメントを出した。新たな物流・交通網としてドローンや空飛ぶ車の事業化を目指すほか、成長が見込まれるLCCでは、20年営業開始の中長距離国際線子会社「ジップエア・トーキョー」などで路線数を増加。コロナ禍でも堅調だった貨物分野はヤマトホールディングスとの提携などを通じて輸送量を拡大し、収益多角化を図る。

ただ、LCCでは従来路線との間で顧客の奪い合いが懸念されるなど新分野開拓は容易ではない。航空業界に詳しい桜美林大学の戸崎肇教授は、今後の成長には「付加価値の高いサービスをいかに追求していくかが重要だ」と指摘する。

【時事通信社】 〔写真説明〕東証に再上場を果たし、上場通知書を手にする(左から)日本航空の植木義晴社長、稲盛和夫名誉会長、大西賢会長=2012年9月19日、東京都中央区(肩書は当時)

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