- 2022/10/12 掲載
市場に調整リスク、新興国と住宅市場が脆弱=IMF金融安定報告
根強いインフレ、中国の景気減速、ロシアのウクライナ侵攻など「嵐を呼ぶ雲」が世界経済に迫っているとし、深刻なリセッション(景気後退)リスクが新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)発生時以来の水準に達していると指摘した。
2022年4月に同報告書を公表して以降、世界の金融安定リスクが高まり、リスクバランスは下向きに「大きく偏向している」との見方を示した。「世界的な環境は脆弱だ。嵐を呼ぶ雲が迫っている」とした。
長引く市場の脆弱性、流動性の引き締まり、根強いインフレ、世界の中央銀行による利上げが相まって、不安定でリスクの高い環境を生み出していると分析した。
「投資家は経済と政策の見通しを再評価し、リスクを取る動きを急速に後退させている。無秩序なリスクの見直しが起きる可能性がある」とし「金融環境の急激な引き締めとボラティリティーは、既存の金融の脆弱性と相互に作用し増幅される恐れがある」と指摘した。
高い借り入れコスト、高インフレ、不安定な商品市場といった「多くのリスク」に直面している新興市場経済に対し、急激な景気後退は深刻な影響を及ぼすと警告した。また企業部門の信用スプレッドが大幅に拡大しており、金利の上昇が住宅市場に悪影響を与えるかもしれないとした。 中国では不動産部門の低迷が既に深刻化しており、不動産開発業者の破綻が銀行部門に波及する可能性があるとの見方を示した。
IMFはグローバル銀行ストレステストで、先進国の銀行は十分な資本と流動性を保有しているようだと評価した。一方、深刻な世界的景気後退が起きた場合は新興市場の銀行の最大29%が資本要件を満たせず、2000億ドル超の資本不足になると推計した。 中銀はインフレを抑制するために「断固として」行動しなければならず、同時に責務を達成するための「揺るぎないコミットメント」を明確に伝えなければならないと指摘した。
政策当局者は金融の脆弱性に対処し、十分な市場流動性を確保して、深刻で無秩序な急落リスクを最小化する必要があるとした。金融規制当局に対し、取引インフラを注意深く監視し、トレーダーが利用できるデータを増やして市場の円滑な運営を支援するよう求めた。
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