• 2022/10/12 掲載

IMF、成長鈍化と市場リスク上昇を警告 3年ぶり年次総会

ロイター

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[ワシントン 11日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)は11日、3年ぶりに対面形式で開催した年次総会の冒頭で、インフレや戦争によるエネルギー・食糧危機、金利の急上昇などが複合的な圧力となって世界を不況の瀬戸際に押しやり、金融市場の安定を脅かしていると警告した。

ただ各国中銀に対しては金融政策を正常化し、インフレと戦う取り組みを「堅持」すべきと述べた。

IMFはこの日、2023年の世界経済成長率予測を7月時点の2.9%から2.7%に下方修正。チーフエコノミストのピエール・オリビエ・グランシャ氏は「米国、中国、ユーロ圏の3大経済圏の停滞が続く」と予想。「要するに、最悪期はこれからで、多くの人々にとって23年はリセッション(景気後退)のように感じるだろう」と述べた。

一方、22年の成長率予測は3.2%に据え置いた。欧州のGDP(域内総生産)が予想より強く、米GDPが予想を下回る現状を踏まえた。

同時に公表した国際金融安定性報告書(GFSR)では、世界の金融安定リスクが上昇し、市場で無秩序な価格の再調整が起きる可能性が高まっていると警告。

IMFのエイドリアン金融顧問兼金融資本市場局長はロイターのインタビューに対し「不確実性がこれほど高かった時代を考えるのは難しい。世界中にこれほど多くの紛争があり、同時にインフレが非常に高いという事態は、何十年もさかのぼらなければ見当たらない」と答えた。

<優先課題はインフレ>

IMFは、各国中央銀行が金融を引き締めすぎることなくインフレを抑え込めるかが先行きを左右すると指摘。金融環境を引き締めすぎると「不必要に厳しいリセッション」に陥るとした。

グランシャ氏は「中銀が再びインフレの根強さについて判断を誤れば、ようやく得た信認を損ねる可能性がある」とし、将来的なマクロ経済の安定にとって致命傷になると警告。「われわれが推奨しているのは中銀が方針を堅持することだ。それは中銀がこれまでよりも加速すべきという意味でも、金融正常化への道を一時停止すべきという意味でもない」とした。

その上で「今のところ、インフレ率の確実な低下を確認すべきというのがわれわれの助言だ」と述べた。

IMFは消費者物価総合指数の上昇率は22年第3・四半期に9.5%でピークを打ち、23年第4・四半期までに4.7%に低下すると見込む。

しかし、世界経済が「十分にあり得る衝撃の組み合わせ」に見舞われた場合、見通しはかなり暗くなる可能性がある。

下振れリスクとしては原油価格の30%急騰や、中国不動産部門の投資急減、新興通貨の下落による金融環境の引き締まり、労働市場の過熱継続による潜在生産量の減少を挙げた。

23年の世界経済成長率が2%を下回る確率は25%と推定。1970年以降で2%を下回る成長率は5回しか記録されていない。また、世界のGDPがマイナス成長に陥る確率は10%を上回っているとした。

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