• 2022/10/21 掲載

企業・家計、痛み一段と=「追い風」百貨店も懸念―歴史的円安で

時事通信社

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東京外国為替市場で20日、円相場が歴史的な節目となる1ドル=150円台に一時下落した。輸出企業の収益押し上げ効果があるとされる円安だが、今回は輸入コストの上昇を通じて食品などの相次ぐ値上げの要因となり、個人消費の重しとなっている。一段の円安で、企業や家計の負担は増しかねない。インバウンド(訪日客)消費で円安の追い風を受け始めた百貨店業界でさえも、手放しで喜べないのが実情だ。

「円安でメリットを感じている人は製造業でもほとんどいない。むしろデメリットだ」。カジュアル衣料の「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は13日の記者会見で、輸出企業を含め日本経済に及ぼす円安の悪影響を強く指摘した。

実際、代表的な輸出産業である電機業界の関係者は、急激な円安によって「製造コストが上がり、本来プラスに働く分も相殺されている」(大手)と説明。別の大手も「現地で作って現地で売っているものも多い」と述べ、円安メリットを一部享受できていないとの認識を示した。

原材料価格の上昇で値上げに踏み切らざるを得ない食品メーカーでは、影響はより深刻だ。食品大手は「急激な円安による仕入れコストの上昇は企業努力だけで吸収するのは困難」と吐露。外食大手は「原材料やエネルギー高でただでさえ厳しい。自社での吸収は限界があるのに円安で一層厳しくなる」と話す。

日本商工会議所の三村明夫会頭は20日の記者会見で「今の日本経済に円安は好ましくない」と強調。キリンホールディングスの磯崎功典社長は、急速な円安の背景にある日銀の大規模金融緩和を巡り、「少し見直すことも必要な時期に来ているのではないか」と指摘した。

一方、新型コロナウイルスの水際対策が大幅緩和され、復活の兆しが見えつつあるインバウンド消費にとって今回の円安はさらなる追い風だ。ANAホールディングスの芝田浩二社長は「外国人にとって現在の円安は大きな魅力で、訪日が促進される」と期待を寄せる。

ただ、百貨店関係者は「インバウンドは売り上げの中心ではない」とも指摘。「今後も円安が進んで衣類や雑貨などの値上がりに波及すれば、多くの中間所得層に影響が出る」と不安を口にした。

【時事通信社】 〔写真説明〕銀座の歩行者天国=9月4日、東京都中央区

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