- 2022/11/16 掲載
ユーロ圏、金融安定へのリスク上昇 銀行資産劣化の兆し=ECB
半期レビューは、負債を抱えた家計、企業、政府が特にリスクにさらされていると指摘。
エネルギーコストの高騰で景気後退の確率は80%に上昇。インフレ抑制に向けた利上げで市場のボラティリティーと債務返済コストはすでに高まっている。
ECBは「エネルギー高騰、インフレ高進、低経済成長でユーロ圏の金融安定に対するリスクは高まっている」とし「こうした全ての脆弱性が同時に展開し、相互に強め合う可能性がある」と指摘した。
デギンドス副総裁は、市場のストレスになり得るのは買い入れでECBが取得した資産33億ユーロの削減だと述べたが、保有国債を売却するとしても、満期償還資金を再投資しないなど「受動的」で緩やかなペースで進めることになると指摘。
量的縮小(QT)について「個人的に相当慎重に実施しなければならないと考えている。利上げと比べてQTの経験は限定的で実施ははるかにデリケートだ。そのため受動型で始めることになると考える」と述べた。
半期レビューでは銀行セクターについて「最近、金利上昇で収益性が改善しているが、資産の質が劣化する初期の兆候があり、引当金の積み増しが必要になる可能性がある」と分析。
政府が歳出を維持する能力も大きく制限されている。多くの政府がエネルギー高騰を受けて広範な家計支援策を打ち出しており、一部で債務の持続可能性に対する懸念が浮上している。
こうした諸々の要因を受けて、金融市場の無秩序な調整リスクが高まっており、経済の他の分野に影響が波及する可能性があるという。
家計の債務を巡る懸念は、現時点では主に低所得層の借り手に限られているが、不動産サイクルが変化し価格が下落すれば、脆弱性が高まる恐れがあるとしている。
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