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- 2023/08/23 掲載
ビジネスジェットの普及が日本で進まないワケ、世界と差がついた日本の飛躍握るカギ
連載:「北島幸司の航空業界トレンド」
世界で加速するビジネスジェット普及、激差つけられた日本
世界に目を広げると、ビジネスジェットは定期航空ほど目立たないものの大きな航空産業の柱になってきている。米国のジェネラル・アビエーション・マニュファクチャリング・アソシエーション(GAMA)が発表する、航空機の製造機数と売り上げのデータによると、2022年に一般航空(ジェネラルアビエーション)を製造するメーカーは世界で30社。
世界の航空機の年間製造機数は2818機になり、その額は228億ドル(3兆1,900億円)となる。うちビジネスジェットはホンダエアクラフトも含め9社で製造され、その数は712機。一方、国土交通省が2021年に発表したビジネスジェットの国別保有機数は、米国が2万978機に対し、日本は61機と大差どころではない激差がついてしまっている。
わが国では車、鉄道車両の製造や造船では輸出も多く、世界で競争できる品質を持つが、航空機製造だけは部品メーカーでしかない。
日本で進むビジネスジェットの規制緩和…でも残る課題
数字が示すように日本ではビジネスジェットは普及率が低い。普及のためには、開かれた航空行政が求められるのはいうまでもない。日本では、2023年6月1日施行で、ビジネスジェット運用に関する航空法が改正された。海外から日本へ旅客を有償運送するための申請と、国土交通大臣の特別許可を必要としない指定空港以外の36空港において、離着陸するためのチャーター機・自家用機申請の期限が緩和された。具体的には、10日前までの申請期限が改正後は3日前までとなった。
急な案件で利用することが多いビジネスジェットで10日前の申請は現実的でないといわれていたが、前進したことになる。日本の運用緩和で機体活用が促進され、ビジネスシーンで利用が活発になることを考えていきたい。
国内間でビジネスジェットを利用する場合はどうだろうか。商用や医療目的の場合は24時間前まで、観光などの目的の場合は3日前までに国土交通省に申請することと決まっている。ANAやJALなどの国内定期航空便でも24時間を切った予約が可能なことを考えると、さらなる緩和が必要となることは明白だ。
ちなみに、国土交通省政策研究所調査による2020年のビジネスジェット発着回数調査では、2019年比で国際線は39.5%に落ち込んだものの国内線は97.4%とほぼ変わらぬ同数となった。定期便の減少に比べて、国内線においては明らかにコロナ禍の影響は少ない。
ではビジネスジェットがさらなる普及をするために、ビジネスジェットメーカーにはどのようなことが求められるだろうか。 【次ページ】ビジネスジェットメーカーに求められること
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