NTTデータ経営研究所 馬場 勇介
クロスインダストリーファイナンスコンサルティングユニット
シニアマネージャー(内部監査士)
国際カードブランドや他コンサルティングファーム等を経てNTTデータ経営研究所に参画。現職では、中長期の社会像・業界像からバックキャストして、決済・ID・データ・トークンなどの金融機能をエコシステムとして再構成。規制・セキュリティ・内部統制の制約を前提に複数プレイヤーの役割・収益・リスクをスキーム上で整理し、「実装可能な形」に落とし込んでいくアプローチを得意としている。
生成AIの金融機関への本番導入が約5割に達する中、「事前にルールを決めれば終わり」という従来型のガバナンスは、限界を迎えつつある。生成のたびに異なる出力を返すAIを適切に制御するには、あらかじめ定めたルールに従わせるだけでなく、運用中の挙動をリアルタイムで監視し、必要に応じて補正する「ウォッチドッグ型」の管理へ移行しなければならない。本記事では、入力、処理、出力、運用の各段階でリスクを抑える「多層的なガードレール」の設計や、人間とAIの責任分界点など、金融機関が早急に検討すべき5つの論点を整理する。さらに、AIエージェント同士が自律的に取引を行う「エージェンティックコマース」が金融市場にもたらすリスクを明らかにし、それに対応するため、ガバナンスの仕組みそのものにAIを組み込む必要性を展望する