- 2006/01/20 掲載
日立、RFIDを応用した原子力プラント建設技術を開発
株式会社日立製作所(執行役社長:庄山悦彦/以下、日立)は、RFID(Radio Frequency Identification)を応用し、原子力プラント建設に適用する技術を開発した。本技術は、社会的な責任が大きく、品質記録等に信頼性の高い情報トレーサビリティが要求される原子力プラント建設において、RFIDを用いることで、人やモノの品質管理の向上と、関連する作業の効率化を目指したものである。日立は今後、運転開始後のメンテナンスや予防保全も含めたプラントトータルライフサイクルへの適用拡張を目指す。
現在、量産系の産業においては、ユビキタス社会を支える基盤技術の一つとしてRFID技術の適用が、加速度的にその範囲を広げている。今回の日立の取り組みは、体系的な適用が難しいとされる、多品種で大量の機器を扱うプラント建設に対して、高機能RFIDの基盤技術の適用を試みるものである。原子力プラントは百万点を超える多品種で大量の機械設備、配管、弁、電気品などで構成されており、これらの機器は、それぞれが設計、製作、調達、立会い、検査、輸送といったプロセスを経て、発電所での据付にいたる。原子力プラントの建設では、機器の物量の多さと履歴の複雑さ、さらに、原子力であるがゆえの高度な品質管理が必要とされることから、効率的で精度の高い管理が要求される。そこで、日立は、日立の持つ”μ”ブランドに代表されるRFID技術と、これまで蓄積された国内19プラントにおける、先進の原子力プラント建設技術を融合したユビキタスプラント建設技術を開発した。
今回開発した技術の概要は以下の通り。
(1)配管製造および据付け工事に適用した場合
工場の材料受け入れ時点で各材料にRFIDタグを取付け、配管等の荷受けや、発送などの物流管理に適用する。また、配管の曲げや溶接などの作業管理ポイントにRFIDを用いることによりその進捗を収集し、高効率な作業管理を実施する。さらに、現地サイトにおいても同様に、荷受けや、作業毎の管理にRFIDを適用することで、製品確認や記録作成など人手のかかる作業の効率化や省力化が可能となり、ヒューマンエラーの防止と信頼性の高いトレーサビリティを確保する。
さらに、これらのRFIDにより収集した情報にもとづき、原子力プラント建設といった大きなプロジェクトにおいて、人やモノなど動態の「見える化」を推進し、さらなる高品質管理システムの構築を目指す。
また、製品の状態管理などにも応用することで、予防保全も含めて、トータルライフサイクルを視野に入れた技術開発も進めている。
(2)電気工事に適用した場合
ケーブル結線作業において、RFIDを端子側と芯線側に取付けることにより、作業員の結線作業の簡略化やエラーチェックなどにも応用できる、結線ナビシステムを開発しました。このシステムは、上流設計の回路CAD(Computer Aided Design)データに基づき、その結線が正しいかどうかを判定する機能を持ち、パソコンやPDA(Personal Digital Assistance:携帯情報端末)を用いて確認することで、結線作業に間違いがないかどうかを自動確認する。
今後、日立はRFIDの適用にあたってのルール作りや既存システムとの融合、さらに、金属材料に直接装着できる金属対応アンテナなどの基盤技術についても開発していく予定。
また、これまで培ってきた技術やシステム、インフラストラクチャーを基盤として、安全や品質を確保したうえで、さらなる信頼性や作業効率の向上を目指した、次世代の原子力プラント建設技術の確立に貢献していくだという。
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