- 2006/06/02 掲載
NEC、大規模ネットワークの通信品質劣化箇所を高速で推定する監視手法を開発
ルータ1000台規模のネットワークの迅速な障害復旧に貢献
NECは、ルータ1000台を超える大規模ネットワークの通信品質劣化箇所を高速に推定する監視手法を世界で初めて開発した。
この開発により、従来の監視手法では発見が困難だった大規模ネットワークにおけるVoIP音声品質劣化やストリーミング品質劣化の原因箇所の推定が可能となり、安定運用とともに、運用管理コストの削減を実現する。
今回の開発では、ネットワーク機器自体の稼働状況や機器を出入りするパケット量を監視する従来の手法では困難だったアプリケーションレベルの品質劣化原因箇所を、ネットワーク内部に計測装置を配置することなく推定を可能にした。実際にネットワークを通過する通信の品質や、アプリケーションと類似した疑似通信の品質を監視することで、実アプリケーションの品質に基づいた検知を実現する。
また、大規模ネットワークでは監視対象となる通信の数や、品質劣化原因となるリンク数が増大し、品質劣化原因を推定するための情報収集や計算が膨大となり、実用的ではないという問題があった。この開発では、ネットワークを分割した部分的な推定と、部分網での推定結果の一部を使った全体的な推定を組み合わせる階層化方式により、計算時間を1/2~1/20に短縮し、大規模ネットワークでの品質劣化箇所の推定を実現する。
近年、電子商取引・IP電話などが普及し、IPネットワークは社会や多くの企業にとって重要なインフラとなっているため、その障害がもたらす損害は非常に大きく、障害発生時の迅速な復旧が社会的要請となっている。こうした障害復旧を迅速に行うためは、その原因をいち早く特定する必要があるが、障害原因を特定するための時間はネットワークの規模・複雑さに比例するため、今後ネットワークがますます大規模化・複雑化すると、障害原因の特定はより困難になることが予想される。
特に、音声通信や映像配信といったアプリケーションでは、従来のメールやWebでは問題にならなかった短時間の輻輳(ふくそう:注)や障害でも音声や画像の乱れなどの品質劣化を生じるため、より詳細な監視が必要である。このため、多数の監視点を必要とする大規模ネットワークの品質劣化箇所を迅速に特定できる監視手法の開発が求められていた。
このたびの開発は、次世代ネットワーク(NGN)の信頼性・安定性を向上し、安心・安全なネットワーク環境を実現する技術である。NECでは、本成果が大規模ネットワークの安定的な運用と運用コスト削減に大きく貢献すると考え、今後も研究開発を強化していくという。
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