- 2006/06/05 掲載
【国内産業分野別IT動向レポート】ソフトバンク、NTT、KDDIは次世代ネットワークの構築で競争
<サマリー>
●国内のIT投資は継続してプラス成長となり、2005年~2010年の年間平均成長率(CAGR)は1.8%、2010年のIT市場は12兆7,796億円と予測
●業種別では、製造、金融、通信・メディアが上位を占める
●新会社法や日本版SOX法など、コンプライアンスに関連したIT投資が増加
IDC Japanは、2005年下半期調査時点における国内産業分野別IT投資動向と2006年~2010年の市場規模予測について発表した。
これによると、2005年の国内IT市場規模は前年比3.1%増の11兆7,052億円となった。IDCでは、2005年~2010年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)を1.8%、2010年のIT市場規模は12兆7,796億円と予測している。
産業分野別のIT投資シェアでは、製造、金融、通信・メディアの3業種が上位を占めている。組立製造とプロセス製造を合わせた製造業は全体の2割を占める主要業種である。製造業では、グローバル競争環境の中で世界規模のサプライチェーン最適化に向けたIT投資が強化されている。不良債権処理にめどをつけた金融業界では、攻めの経営へ転換を進めている。金融持株会社の下に、都市銀行、証券会社、保険会社等、様々な業態の金融機関がグループ化され、シナジー効果を追及するためのIT投資が増加している。また、通信業界では、ソフトバンク、NTTグループ、KDDIが次世代ネットワークやスーパー3G/ウルトラ3Gなどの構築を競っており、それら高速通信網上の各種上位レイヤサービスに伴うIT投資が伸びると予測している。
しかし、2006年の個人を除く企業・公共部門のIT投資成長率は、日本経済の回復にもかかわらず2.1%と低水準。金融業等のIT投資が直接的に事業拡大につながる業種や各産業のリーディングカンパニーを除いて、その投資領域は「セキュリティ」「コンプライアンス」等、限られた分野が中心であり、ITベンダーを取り巻くビジネス環境の勢いはまだ十分ではない。ITベンダーは、この様な状況をいち早く抜け出し、次なる成長軌道に移るための新たな戦略を構築する必要があるという。
「IT製品のコモディティ化が著しい中、付加価値の高い、他社に対して差別化できるソリューション提案により過当競争から抜け出すために、ユーザー企業の属する業界の業務知識に精通した人的資源をこれまで以上に拡充強化することがITベンダーにとって重要」とIDC Japan ITスペンディング リサーチマネージャー和田英穂氏は述べている。
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