- 2006/08/16 掲載
マイレージやポイントなど、「企業通貨」発行総額は4,500億円超に
【マネジメント】主要9業界の2005年度の発行金額を推計
野村総合研究所は、国内9業界の主要企業が2005年度に発行したポイントやマイレージなどの「企業通貨」の金額を推計した。その結果、発行総額は少なくとも4,500億円程度に達する見込みだという。NRIでは、「企業通貨」を提供する企業が合従連衡することで、新たな顧客の囲い込み・相互送客につながり、「企業通貨」の価値や利用率が一層高まると考えている。
国内主要9業界の「企業通貨」発行額推計(2005年度)
「企業通貨」は、各種キャンペーンなどで、購入額にかかわらず提供されるものがあるほか、還元率もステージ制やプレミアム会員制などの状況によって異なる。さらに、現在では100社をはるかに超える企業が「企業通貨」を提供している。そのため、実際に日本国内で発行されている「企業通貨」の総額は、4,500億円を上回っている可能性が高いとNRIではみている。他の「企業通貨」に交換できるものが増えてきているなど、流動性を促進させる動きも活発化している点を考慮すると、今後、「企業通貨」はその存在感を一層高めるであろうと推測される。![]() |
国内主要9業界の「企業通貨」発行額推計(2005年度) |
「貯めている」企業通貨と「貯めたい」企業通貨
さらに、NRIが2005年9月に全国の2,500人に対して実施したアンケート(訪問留置調査)によると、消費者が貯めている「企業通貨」の種類の1位は総合スーパー(43.4%)、2位は携帯電話(42.7%)、3位は家電量販店(41.2%)だった。さらに、携帯電話の「企業通貨」は「貯めている」と「貯めたい」のギャップが最も大きいことがわかった。これは、発行量が多い割に、ポイントプログラムがうまく機能していないためだと分析できる。企業が「企業通貨」を発行する費用を、販促費用としてとらえた場合、未使用の「企業通貨」は発行企業のコスト低減につながる。だが、「企業通貨」を発行する企業の本来の目的を考えた場合、利用率を高めていくべきだと思われる。![]() |
「貯めている」企業通貨と「貯めたい」企業通貨 |
NRIでは、「企業通貨」の利用率を高めるための一つの手段として、「企業通貨」を提供する企業が、既存の資本関係のあるグループを越えて合従連衡することを提案する。それも、単なる「企業通貨」の相互交換のみならず、消費者の行動プロセスなどに絡めた、あらゆる合従連衡にまで踏み込むことで、より一層、「企業通貨」の価値が高まる可能性があるとみている。このような合従連衡は、新たな顧客囲い込み・相互送客の方法でもある。「企業通貨」を活用して、お互いの顧客を紹介し合う、つまり「送客」しあうことで、他社の顧客を自社に誘引し、さらに自社の顧客の便益を考えた囲い込みにつなげることが可能である。
今回の推計や調査結果を含めたNRIの「企業通貨」に関する提言が、単行本『2010年の企業通貨』として、東洋経済新報社より9月7日に発行される予定である。NRIでは、今後も、「企業通貨」の動向を分析し、新しいビジネスのあり方を提案していく。
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