• 2007/03/05 掲載

【ITキーパーソンインタビュー(6)】ビジネスを強くするソリューションとは何か--オラクル 三澤氏(2/2)

日本オラクル 常務執行役員 システム製品統括本部長 三澤智光氏インタビュー

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2007年SOAが本格化

──SOAのメリットは何でしょうか?

 IT業界ではSOAという言葉が独り歩きしている傾向が強いと思います。SOAは目的でなく、それを実現するための手段です。我々も少し取り違えたプロモーションをしたと感じています。いずれにしてもユーザーニーズはコスト削減に向かっています。いままで投資してきたアプリケーションを全部捨てたくないし、有効利用したいと思っている。スピード経営に関しても、次の事業のために新しいアプリケーションが必要になった、あるいは企業合併によってアプリケーションを統合する必要が出てくることもあるでしょう。その際に従来のように4、5年かけて1から統合化されたアプリケーションをつくるわけにはいきません。そこで、SOAのテクノロジーが有効になるわけです。SOAは2007年にいよいよ本格化してくると思っています。

 プロダクトを提供するベンダー側からすると、SOAひとつ取っても必要なコンポーネントは山のようにあります。単独ベンダーになると個別製品しかないこともあり、ユーザーは全部違うブランドを買ってイングレーションしなければならない。インテグレーションコストもかかりますし、全部バラバラに揃えるためライセンスコストも高くなる。イニシャルコスト、保守コスト、インテグレーションコスト、運用コストなど、すごく高いものをユーザーに押し付けることになるかもしれない。「Oracle SOA Suite 10g Release3」は、そういうデメリットを基本的に解消できると思っています。アーキテクチャが統合されていますから、インテグレーションコストは基本的に発生しません。Suiteなのでバラバラの製品を購入するよりも、半額から1/10ぐらいまでの価格に設定できる。当然、保守料も下がっていく。本当にSOAを採用するなら包括的なソリューションが必要です。これがOracle SOA Suite 10gの差別化のポイントになる点でしょう。

──SOAにおける今後の課題は?

 初期のSOAが過大に期待された原因は、主にメディアやベンダーが「魔法のツール」のように紹介してしまったからです。サービス化されたコンポーネントは、一生再利用可能で、あたかも魔法の糊でつながるかのように思えた。いま課題になっているコストやスピードなどの問題にジャストミートするとユーザーは思った。ただし、コンポジット化されたアプリケーションの再利用や連携については、アーキテクチャ的にはまだ勉強しなければいけない部分もあります。サービスとサービスの粒度など、デザイン的な問題もある。既存のスクラッチアプリケーションをSOA化するのは、そうとうタフなことだとベンダーもユーザーも気づいています。したがって魔法のツールであったSOAが、より現実的なものとして見えてきたと思います。

 そこで我々はSOAに対して2つのアプローチを取っています。1つは「SOAベースドインテグレーション」で、まずシステム間やアプリケーション間の連携にSOAを採用した場合。このメリットはとても大きい。従来アプリケーション間の連携をする際にはバッチ・ファイル転送か、プログラムのコーディングをゴリゴリやっていくか、とても高価なEAIツールを導入するしか選択肢がなかった。ところがSOAならば、これらの問題が解消されます。

 とはいえSOAのメリットは、それだけではありません。これが当初から語られていたコンポジットアプリケーション、再利用、システム間連携で、これらをうまくデザインしていくための「エンタープライズドSOA」です。SOAにはこの2つの段階があると思います。現在の段階は「SOAベースドインテグレーション」であり、SOAのテクノロジーそのものを至近のところで活用してもらうステージ。2007年からは、その成果をベースにして、徐々にエンタープライズSAOのほうに向かっていくシナリオになるでしょう。

Red Hatのサポートサービスも日本で展開

──2007年の全体的な展開は?

 まずは大きな成功を収めたビジネスアプリケーション分野で、E-Business Suite、あるいはPeopleSoft、Siebel Systemsなどの製品の新バージョンが一気に出揃って、加速度的にビジネスアプリケーション事業が立ち上がりました。これは引き続き注力していくところです。

 それから、テクノロジーのプロダクトでは、セキュリティ分野も注力します。もちろんSOA、ビジネスインテリジェンス、グリッドについても力を入れていきます。さらに付け加わってくるのが、エンタープライズコンテンツマネジメント(EMC)分野です。 Stellentという会社を買収していますので、新しいECM分野へ撃って出ます。

 それからもうひとつ、「エンタープライズ2.0」というか、Web2.0を採用した企業向けの仕組みになる「エンタープライズマッシュアップ」の分野です。「Web Center Suite」の製品群が続々と登場します。また、データべースのニューバージョン11gを早いうちにユーザーの元にお届けできるでしょう。注目度が高いのは、米レッドハットのLinuxの新保守サービス「Unbreakable Linux 2.0」です。これは、国内での展開も視野に入れています。Linuxのサポートはできるだけ早いうちに始める予定です。

聞き手:編集部 松尾 執筆:井上猛男 撮影:伊藤孝一

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