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- 2007/03/12 掲載
【ITキーパーソンインタビュー(7)】LinuxとWindowsのミックスソースがビジネスを変える--ノベル 堀氏
ノベル 代表取締役社長 堀昭一氏インタビュー
あくまでもユーザーのベネフィットを考えた結果
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2006年4月から協業の話が進み、11月のキックオフで正式に向けて発表しました。ユーロディズニーランドに社員1400名を集めて行われたキックオフで発表されるまで社員にさえ明かされていなかったので、全員が驚いたと思います。しかし、エンドユーザーやインテグレータさんなど、ユーザーのみなさんには好感を持って受け止められました。
そもそも我々が協力体制を組む前から、みなさん現場ではWindowsとLinuxを混在させて使っていらっしゃいました。そして混在環境で起こったインターオペラビリティなどの課題は、自力で解決していらしたのです。Linuxの利用範囲が広がるにつれて増える混在環境下での開発をよりスムーズに進めるため、マイクロソフトとノベルが協力することを望む声も多く届いていました。顧客のみなさんに満足してもらうためには両社が協力するしかないという思いはマイクロソフトさんにもあり、協業への道を歩むことになりました。
周囲から好意的に受け止められている理由のひとつに、アメリカで進んでいる仮想化(Virtualization)の動きがあると思っています。Linuxの上で複数のWindowsを動かしたり、逆にWindows上でLinuxを動かしたりする手法です。こういった環境を安定動作させていくためには、マイクロソフトさんとノベルが協業し、仮想化環境での動作を保証することも重要だと思います。また、利用者が増え続けているOpenOfficeと、Microsoft Officeとのファイル互換性をより完全にしていくことも、私たちが協業して初めて実現できることです。
──Linuxにとって、この協業は追い風になるのでしょうか?
2005年と2006年では日本国内のLinux市場が約2倍の成長を見せており、順調な拡大を続けています。しかし、Linuxの利用範囲が増えれば増えるほど、Windowsとの共存は避けられなくなります。そこで、今回の協業により混在環境下での使い勝手が向上すれば、より一層の市場規模拡大に向けて追い風となるでしょう。
──オープンソースを使えば費用を抑えられるというイメージが先行していますが、その他の恩恵を教えてください。
実は、導入費用が安いというのは企業がLinuxを選択する一番の理由ではありません。最大の恩恵は、ソースが公開されているということそのものなのです。たとえばミッションクリティカルな業務アプリを作る場合、完成したアプリケーションが仕様通りに動かなければOSベンダにも問い合わせを行います。ソースが公開されているLinuxなら、ベンダに問い合わせを行うと同時に自分たちでも対応策を探すことができ、安定稼働に向けて自分たちの責任を全うできます。
──ノベルのディストリビュータとしての強みはどこにあるのでしょうか?
Linuxとして出荷されているものは、1000以上のコンポーネントの組み合わせでできています。それらがしっかり動作すること、デバイスとの互換性があること、などをテストしており、ユーザーからの問い合わせにも対応できるということが一番のアドバンテージです。各アプリケーションベンダーにもLinux対応を掲げるところが増えていますが、それらは個別のアプリケーションがLinuxで動作することを保証してくれるだけです。ノベルは、OracleもSAPも動作チェックを行い、動作を保証しています。OSベンダーとしての視点でLinuxに携わっている強みが、ここにあります。
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