• 2007/07/03 掲載

NGN/ユビキタス時代のビジネスの革新を支援するIT基盤とは

注目を集めるNGNの潮流と、NGN時代の新世代ソリューションを探る

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NGN(Next Generation Network=次世代ネットワーク)のキーワードのもと、次世代ネットワーク環境と、そこから生まれる新しいサービスに関心が高まっている。NGNのもっとも大きな特長は、通信品質の大幅な向上と安定化にある。従来のインターネットは、ネットワークの帯域の空き具合といった非常に不確定な要素によって、その通信品質が大きく左右されていた。しかし、NGNによるネットワーク環境の改善やユビキタス環境の進化によって、ネットワークを介したビジネスの可能性は大きく拡がっていくと予想される。今回、昨今注目を集めるNGNについて、その潮流と、NGNネットワークを活用した新世代ソリューションについてNEC 第二システムソフトウェア事業部 統括マネージャー渋谷純一氏に伺ってみた。

「自社業務の効率化」から
「利益創出のツール」へと進化するIT/ネットワーク


【ITアーキテクト】
日本電気
第二システムソフトウェア事業部
統括マネージャー
渋谷純一氏
 「NGNがもたらす恩恵は、非常に大きなものがあります。従来のインターネットにあった通信品質の不安定さが払拭され、しかも標準化されたIPベースの通信はそのまま、ユーザに高品質でオープンな通信インフラを提供することが可能になるのです。当社としても、今後拡がっていくネットワーク活用の可能性に向け、この分野での技術をさらに強化していきたいと考えています」と語るのは、日本電気 第二システムソフトウェア事業部 統括マネージャーの渋谷純一氏だ。

 同社が今後のITソリューションを考える上で現在注目しているテーマの一つに、「ユビキタス環境の動向」がある。NGNの具現化が、このユビキタス環境の進化をさらに加速させることは想像にかたくない。携帯電話ひとつとっても、コミュニケーションツールとしての基本機能以外にも音楽配信やゲーム、株取引、ショッピング決済と、ネットワーク端末としての可能性は拡大を続けている。さらに乗車カードや電子マネーとして利用されている非接触型ICカードなども加えれば、もはやモバイルをネットワークの特別な領域と考える必要すらないのではないかと思うほどだ。

 「こうしたユビキタス環境の進化により、サービスの連携が重要になっていくことは確実です。企業もこうした変化をとらえた新しいビジネスモデルへのチャレンジを開始しています。例えば、キャリア・金融業・流通サービス業・加盟企業間といった異なる業種サービスの組み合わせ(クロスオーバ)で構築されている『JR東日本のモバイルSuica』などはその好例です」と渋谷氏は語る。

 このビジネスモデルの変革は、今後あらゆる企業にとって避けて通れない課題となるのは必至だ。こうしたクロスオーバによるビジネス創出は、新たなサービス創出に向けた企業連携のあり方を示している。身近な例としてWebショッピングひとつを見ても、Web上でのオンライン決済はもちろん、商品流通を効率化するための「リアルタイムSCM」、最短時間での配送を可能にする「大規模ITS」との連携、そして放送局や情報ポータルサイトによる商品情報配信などが高度に連携しながら、より顧客満足度の高いサービスへと発展させていくことが可能だ。もちろん、そこから従来の単なる「Webショッピング」にはなかった新しい価値を創出する可能性も充分に考えられる。こうしたITとネットワーク双方の急速な進化は、実はサービスだけでなく、それを提供する企業にとってのITのあり方そのものを大きく変えつつあると渋谷氏は強調する。

 「これまで企業にとってITは、『自社業務の効率化』の手段として導入されてきました。しかし、今後は自社よりも『顧客に対するサービス提供の基盤』として、ウェイトを大きく移していくことになるのです。つまり『経費を節約するためのツール』ではなく『サービス提供によって利益を生む手段』へと、よりポジティブな変化を遂げるのです」。

新時代のソリューション提供基盤として
「サービスプラットフォームソリューション」を提唱


 NECではこうした新しい時代のサービス基盤の提供を目指して、システム構築を行うソリューションを体系化し、「サービスプラットフォームソリューション」として2007年4月から販売を開始した。この「サービスプラットフォーム」とは、企業がネットワークを活用して他の企業や個人、グループ企業などに対してサービス提供を行う基盤となるシステムである。具体的には、携帯クレジットのような企業間連携により実現されるサービスや、IPテレビなどの映像サービス、さらに映像・音声・データを駆使した新たなコミュニケーションサービスなどの多彩なサービスの提供を可能にする。

 「つまり、当社の提供する『サービスプラットフォームソリューション』とは、今後NGNによるネットワーク環境の改善やユビキタス環境の進化によって、さまざまな企業が要求してくる新たなビジネスアプリケーション群のための包括的なソリューション提供基盤となるものです。NECには、これまでのOMCS(Open Mission Critical System)分野と、ITおよびネットワーク統合ソリューション分野での豊富なシステム構築実績を通じて培ったノウハウがあります。これをシステムモデルやミドルウェア群で構成されるソリューションとして具現化・体系化し、新たに提供したのが『サービスプラットフォームソリューション』なのです」(渋谷氏)。

 このソリューションを活用することにより、高度なミッションクリティカル性(高信頼性、高機密性、高拡張性)と合わせ、大量のイベント(データ)を高速かつリアルタイムに処理する高速処理性能や、ITサービスとNWサ-ビスの連携など、企業間でのサービス連携などを実現する、NGN時代の新たなサービスプラットフォームの構築が可能になる。さらにこの構築に際しては、NEC独自の構築ノウハウが提供され、ユーザニーズに最適化されたシステムを短期間で効率的に構築できるという。変化の激しいマーケットに即応しなくてはならない、これからのサービス基盤として必要不可欠の条件を備えているといえよう。

サービス実行基盤「WebOTX」があらゆる業種・分野の
ニーズに応えるソリューションを可能に


 NECはこうした今後のマーケット/技術動向を見据えて、さらに柔軟でサービスオリエンテッドなソリューション構築環境を提供するため、ミドルウェア製品の強化・充実を図ってきた。その中でも「サービスプラットフォームソリューション」とほぼ同時に発表された『WebOTX』は、多様なユーザのニーズに応えて新しい時代のソリューション開発を可能にする画期的な“サービス実行基盤”製品群だ。

 WebOTXは、大きく分けて「アプリケーションサーバ製品」、「サービスインテグレーション製品」、「サービスコンポーネント製品」という3つの製品群で構成されている。「これらの製品群は、そのままサービス実行基盤の3層アーキテクチャに対応しています。まず膨大な量のサービス呼び出しに対しても、安定かつ高性能な実行環境を提供できる『アプリケーションサーバ』が、一番下の第1層を支えています。その上のサービスインテグレーション層には柔軟なサービス連携を実現するメッセージ交換機能を備えた『エンタープライズサービスバス(ESB)』が乗り、一番上の第3層には、NECが多彩な業種でのシステム構築実績を誇る『サービスコンポーネント』があります。この層には『音声認識・合成』、『RFID』、『モバイル』、『映像・音声通信』といった各分野の要素技術が提供されています。ユーザ企業は、この3層の強固で安定した実行基盤を活用することにより、基幹業務からオフィス業務、CRM、SCMまで幅広い分野のソリューションを、最新の技術と最短の時間で構築することが可能になるのです」と渋谷氏は、そのアドバンテージを強調する。

 言うまでもなくWebOTXにはNGNの基本的な技術が実装され、標準化されたソリューションの構築を可能にしている。NGNの基本プロトコルであるSIPを取り扱い、さらにSIPサーバを仮想化する技術や、豊富な実績をもとに開発されたRFID/モバイルなどのサービスコンポーネント等、標準化と最先端を兼ね備えたテクノロジを搭載。既存システムの機能強化から、SIP連携による音声・映像を活用した新サービス構築までの幅広いカバレージは、今後のマーケットオリエンテッドなソリューション構築を目指す企業にとって強力な開発基盤を約束してくれる。

 「7月25日に開催するセミナーでは、単なる機能紹介にとどまることなく、実践的な利用シーンをできるだけご覧に入れたいと思っています。セミナー会場となる東京・品川のNECブロードバンドセンターの最先端設備を活用したNGNソリューションデモなどを通じて、サービスプラットフォームならばこんなことが実際にできるのだということをぜひご自分の眼で確かめていただきたいですね」。

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