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  • 2009/05/29

クラウドにも弊害?NGNとIPv6インターネットが併用できないマルチプレフィックス問題とは--東大 江崎浩氏

東京大学大学院 情報理工学系研究学科 教授 江崎浩氏

先行したGoogle、Amazonに続き、IT企業各社も続々とクラウド・コンピューティング戦略を打ち出してきた。そうした中で気になるのが、クラウドの基盤ともなるNGN(次世代通信網)の動向だ。NGNは2004年からITU-T(国際電気通信連合 電気通信標準化部門)で国際標準化作業が進行中だが、NGNとインターネットの相互接続性が失われている問題、いわゆる「マルチプレフィックス」問題は依然解決されないままの状況にある。こうした問題について、総務省の「インターネット政策懇談会」で主査代理を務めた東京大学大学院 情報理工学系研究学科 教授 江崎浩氏に伺った。

丸山隆平

丸山隆平

経済ジャーナリスト。1972年日刊工業新聞社入社、以降88年まで第一線の経済・産業記者として活躍。経団連、NTT、通産省、郵政省、労働省、東京商工会議所、各記者クラブ所属、米国特派員を経験。情報通信、コンピューター・ソフトウエア産業草創期から取材。コンピューター・OA、情報通信、経営問題関連の執筆・著作多数。1989年から投資家向け広報(IR)コンサルタントとして内外の企業IR・PRをサポートしている。

IPv6ではNGNとインターネットは接続できない

東京大学大学院 情報理工学系研究学科教授 江崎浩氏

東京大学大学院
情報理工学系研究学科教授
江崎浩氏

──NGNを用語集で調べてみると、「IP技術を利用し、データ通信、固定電話、携帯電話、テレビ放送などを統合する次世代通信網」と解説されており、「2004年から『ITU-T』(国際電気通信連合)で標準化が行われ、日本ではNTTグループがフレッツネクスト光ネクストとして2008年3月から商用サービスを開始した」とあります。ということは、NGNはNTTグループの商標ではなく、各国でそれぞれ展開されようとしているサービスなのでしょうか?

 日本国内でNGNは、NTTグループのブランドのような印象がありますが、国際的に見るといくつかの団体によって標準化が進められています。代表的なのは欧州の標準化団体「ESTI(European Telecommunications Standard Institute)」が「TISPAN(Telecommunications Internet converged Services and Protocols For Advanced Networking)」において標準化を進めています。日本では、2005年12月に「次世代IPネットワーク推進フォーラム」が設立され、標準化に向けた取り組みが行われています。

 日本では実態として、NGNは安心で高速、高品質というブランド・イメージがあり、「上手に運用されたIPネットワーク」のことを指しています。

──とはいえ、そのNGNが進んでいない印象もあります。

 NGNは、日本ではNTT東日本とNTT西日本が提供する閉じた形のネットワーク(閉域網)であり、「ネットワークの中立性」が問題となっています。この「ネットワークの中立性の問題」というのは、NGNと、開域網であるインターネットとの接続がスムーズに行われない「マルチプレフィックス問題」を指しています。

──マルチプレフィックス問題とはどういうことでしょうか?

 NTT東西のNGNは、IPv6による閉域網であり、開域網であるIPv6のインターネット通信を併用しようとすると、企業も家庭も、NGN用とその他インターネット用の2つのIPv6アドレスを持つ必要が起きてきます。IPv6アドレスを2つ持つと、大きく分けて2つの問題があります。1つは「経路選択問題」です。NGNに送るべき通信パケットを、インターネット網に送ってしまったり、逆にインターネット網に送るべきパケットをNGNが受け取ってしまうことになります。2つめが、「送信元アドレス選択問題」です。これは、自分の住所が2つある状態で手紙を送るため、相手が返信しようとした際に、返信の内容が自分に届かない可能性がある問題のことです。

 2008年2月にはNTT東西のNGNを利用したフレッツサービスが認可されましたが、この「マルチプレフィックス問題」を解消しないと、将来問題が起きることが懸念され、総務省は認可に条件を付けています。今後、NGNとISP(インターネット サービス プロバイダ)の提供するインターネット網、つまりクラウド・コンピューティングの利用網を使い分けるニーズが出てくることが予想されますが、現在は対応できていないのが実情なのです。

──となるとNGNは、他のインターネットサービスやクラウド・コンピューティングを利用する上で問題があるということなのでしょうか…。

 そのために、総務省は2008年2月にNTT東西のサービス認可に際して、ISPとの接続や扱いに対して公平に取り扱い、技術的インターフェースなどの共通化について十分話し合いを行うように条件を付けたのです。

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