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- 2024/08/27 掲載
世界のデータセンター市場「超詳細」、持続可能な電力エネルギーと冷却技術の最前線
データセンターにおける電力と冷却技術
データセンターを稼働させ、最適なパフォーマンスを維持するためには、莫大なエネルギーが必要となります。そうした中で、電力および冷却システムの効率性と持続可能性が非常に重要視されています。データセンターが大規模化・複雑化するに伴い、環境への影響を最小限に抑えながら、信頼性の高い電力供給と効果的な冷却を実現する革新的なソリューションへの需要がかつてないほど高まっています。
特に、小型モジュール炉(SMR)や仮想発電所(VPP)などの先進的なエネルギーソリューションは、持続可能で強力な電力供給の新たな手段といえるでしょう。
また、最先端の冷却技術、たとえば液体冷却システムやマイクロチャンネル熱交換器(MCHE)などにも注目が集まっています。これらは高性能コンピューティング機器から発生する熱を管理し、エネルギー消費量を削減し、運用効率を高めるのに役立ちます。
データセンターの機能と種類
データセンターは、コンピューターシステムや通信システム、ストレージシステムなどの関連コンポーネントを収容し、管理するために設計された専門施設です。データセンターがデータ処理・データ保存・データ配信の中枢として機能するおかげで、企業や組織はIT業務を効率的に管理できるようになります。データセンターの主な機能は、以下の5つです。
- データストレージ:膨大なデータを安全に保存する
- データ処理:各種サービス向けアプリケーションの実行とデータ処理を行う
- ネットワーク:センター内および外部ネットワークとのデータ交換用の接続機能を提供する
- バックアップとリカバリ:障害が発生した場合にデータをバックアップし、復旧を可能にする
- セキュリティ:サイバー攻撃や不正アクセスからデータやシステムを保護する
また、データセンターの種類は大きく分けて以下の3つが挙げられます。
- エンタープライズ(企業)データセンター
個々の企業が所有・運営するデータセンターで、インフラとセキュリティの管理が可能であり、組織の特定のニーズをサポートするように設計されています。 - クラウドデータセンター
サードパーティーのサービスプロバイダーが所有するデータセンターで、インターネット経由で拡張可能なコンピューティングリソースを提供しています。企業は必要に応じてこれらのリソースをリースできるため、柔軟性とコスト削減を実現できます。 - エッジデータセンター
エッジデータセンターはエンドユーザーに近い場所に設置され、IoTデバイスや自動運転車など、リアルタイム処理が必要なアプリケーションの遅延を解消し、パフォーマンス向上のためにデータをローカルで処理します。
データセンターにおける電力システムとは
BISリサーチ社のレポートによると、世界のエッジデータセンター市場は、2023年に167億520万米ドルから、2033年には953億8,630万米ドルに達し、予測期間2023年~2033年の間に19.03%の堅調な年平均成長率(CAGR)を示すと予想されています。エッジデータセンター市場の成長要因の1つは、エッジコンピューティングに対する需要の高まりです。
データセンターの電力システムは、継続的な運用を維持するために不可欠であり、以下のようにさまざまなコンポーネントで構成されています。
- 無停電電源装置(UPS):停電時にバックアップ電源を供給し、サービスの停止を防止する
- 発電機:停電が長時間続いた場合でも、長期的に電力をバックアップする
- 配電ユニット(PDU):サーバやネットワーク機器に電力を分配する
- バッテリーストレージシステム:非常用電源として、また電力負荷のバランスを取るためにエネルギーを貯蔵する
また、エネルギー効率を高めるためには、以下の観点が重要となります。
【次ページ】先進的な「エネルギー技術」や「冷却技術」を紹介
- 稼働時間:信頼性の高い電力システムは、データセンターの稼働時間を確保し、コストのかかるダウンタイムを防ぐ
- データの完全性:安定した電力供給は、データの破損や消失を防止
- 運用効率:効率的な電力システムは、エネルギー消費と運用コストを削減
- 拡張性:適切な電力インフラは、データセンター業務の成長と拡張を支援
- 持続可能性:エネルギー効率の高い電力システムは、データセンターの環境負荷低減に貢献
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