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- 2020/06/18 掲載
AWS・Azure・GCPに「モテモテの」VMware、「CloudSimple」を巡る争いをどう見るべきか
山市良のマイクロソフトEYE
パブリッククラウドベンダー各社にモテモテのVMware
たとえば、Amazon Web Services(AWS)は「Xen」または「KVM」、Google Cloud Platform(GCP)は「KVM」、Microsoft Azureは「Hyper-V」ベースのハイパーバイザーが仮想マシンにコンピューティングリソースを提供します。各社のテクノロジーについて詳細まで公表されているわけではないので、最新の状況はそうでないかもしれませんが、それは今回のテーマではないので踏み込まないことにします。
一方で歴史的に見ると、VMwareのテクノロジーは、ハイパーバイザーベースの仮想環境やプライベートクラウドのインフラストラクチャとして、仮想化およびクラウド市場をけん引してきたことは誰もが認めるところでしょう。
VMwareベースの仮想化サーバやプライベートクラウドは、今もなお多くの企業が重要なITインフラストラクチャとして運用していると思います。パブリッククラウドの先駆者であるAWSは、VMwareとの提携と認証の下、いち早く2017年8月に「VMware Cloud on AWS」の提供を開始しました。
VMware Cloud on AWS - 利用可能になりました
VMware Cloud on AWS
VMware Cloud on AWSは、VMwareの「vSphere」(ハイパーバイザー)、「vCenter Server」(管理サーバ)、「vSAN」(仮想ストレージ)、「NSXT」(仮想ネットワーク)をAWSのベアメタルインフラストラクチャ上に構築、実行し、オンプレミスのプライベートクラウドと同じVMwareツールを使用して、プライベートクラウドをシームレスにパブリッククラウドに拡張したり、移行したり、AWSの災害対策機能(VMware Site Recogery)で保護したりできるようにするものです。
GCPやMicrosoft AzureもAWSに後れを取られまいと、VMware対応への道を進むことになります。しかし、その道はAWSのようにVMwareとの直接的な提携の下ではなく、VMwareソリューションを提供するサードパーティーに依存することを選択しました。
Azureで提供されるVMwareソリューションの名称が変更
さて、話は戻りますが、Microsoft Azureで新たにプレビューが開始された「Azure VMware Cloud Solution」のアナウンスは以下のものです。このアナウンスの“New”が重要なのですが、これには大人の事情が相当に絡んでいると思われます。New Azure VMware Solution is now in preview
Azure VMware Solution
「Azure VMware Solution」と聞いて、以前からプレビュー提供中だったことをご存じの方もいると思います。しかし、以前は「Azure VMware Solution by CloudSimple」(2019年5月からプレビュー提供開始)という名称で、発表時には2020年第1四半期の一般提供の予定でした。一方のGCPもまた、2019年7月に「Google Cloud VMware Solution by CloudSimple」という名称でプレビュー提供を開始し、発表時には2019年内の一般提供の予定でした(画面1、画面2)。
「by CloudSimple」が示すように、両ベンダーともに、VMwareソリューションを提供するCloudSimpleのテクノロジーを利用して、自社のベアメタルインフラストラクチャ上にVMware環境を構築し、実行する形でした。
【次ページ】VMwareのプラットフォームとして優位に立ちたい各社の争い
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