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  • 2020/06/18 掲載

AWS・Azure・GCPに「モテモテの」VMware、「CloudSimple」を巡る争いをどう見るべきか

山市良のマイクロソフトEYE

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マイクロソフトは2020年5月初め、VMwareクラウドをAzureのベアメタルインフラストラクチャ上に構築および実行できる新サービス「Azure VMware Solution」の登録制プレビューを開始しました。一般提供の開始は2020年下半期とされています。この動きの背景にあったのが、2019年11月にグーグルがVMware実行環境を提供する「CloudSimple」を買収したことでした。

執筆:フリーライター 山市 良

執筆:フリーライター 山市 良

IT 専門誌、Web 媒体を中心に執筆活動を行っているテクニカルライター。システムインテグレーター、IT 専門誌の編集者、地方の中堅企業のシステム管理者を経て、2008年にフリーランスに。雑誌やWebメディアに多数の記事を寄稿するほか、ITベンダー数社の技術文書 (ホワイトペーパー) の制作やユーザー事例取材なども行う。2008年10月よりMicrosoft MVP - Cloud and Datacenter Management(旧カテゴリ:Hyper-V)を毎年受賞。岩手県花巻市在住。
主な著書・訳書
『インサイドWindows 第7版 上』(訳書、日経BP社、2018年)
『Windows Sysinternals徹底解説 改定新版』(訳書、日経BP社、2017年)
『Windows Server 2016テクノロジ入門 完全版』(日経BP社、2016年)
『Windows Server 2012 R2テクノロジ入門』(日経BP社、2014年)
『Windows Server 2012テクノロジ入門』(日経BP社、2012年)
『Windows Server仮想化テクノロジ入門』(日経BP社、2011年)
『Windows Server 2008 R2テクノロジ入門』(日経BP社、2009年)
など

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パブリッククラウドベンダーを取り巻く環境は目まぐるしく変わっている
(Photo/Getty Images)


パブリッククラウドベンダー各社にモテモテのVMware

連載一覧
 パブリッククラウドベンダー各社のIaaS(サービスとしてのインフラストラクチャ)環境は、各社が採用するハイパーバイザーを中心に、独自の仮想ストレージや仮想ネットワーク、各種サービス(バックアップや災害復旧など)で構成されます。

 たとえば、Amazon Web Services(AWS)は「Xen」または「KVM」、Google Cloud Platform(GCP)は「KVM」、Microsoft Azureは「Hyper-V」ベースのハイパーバイザーが仮想マシンにコンピューティングリソースを提供します。各社のテクノロジーについて詳細まで公表されているわけではないので、最新の状況はそうでないかもしれませんが、それは今回のテーマではないので踏み込まないことにします。

 一方で歴史的に見ると、VMwareのテクノロジーは、ハイパーバイザーベースの仮想環境やプライベートクラウドのインフラストラクチャとして、仮想化およびクラウド市場をけん引してきたことは誰もが認めるところでしょう。

 VMwareベースの仮想化サーバやプライベートクラウドは、今もなお多くの企業が重要なITインフラストラクチャとして運用していると思います。パブリッククラウドの先駆者であるAWSは、VMwareとの提携と認証の下、いち早く2017年8月に「VMware Cloud on AWS」の提供を開始しました。

VMware Cloud on AWS - 利用可能になりました
VMware Cloud on AWS

 VMware Cloud on AWSは、VMwareの「vSphere」(ハイパーバイザー)、「vCenter Server」(管理サーバ)、「vSAN」(仮想ストレージ)、「NSXT」(仮想ネットワーク)をAWSのベアメタルインフラストラクチャ上に構築、実行し、オンプレミスのプライベートクラウドと同じVMwareツールを使用して、プライベートクラウドをシームレスにパブリッククラウドに拡張したり、移行したり、AWSの災害対策機能(VMware Site Recogery)で保護したりできるようにするものです。

 GCPやMicrosoft AzureもAWSに後れを取られまいと、VMware対応への道を進むことになります。しかし、その道はAWSのようにVMwareとの直接的な提携の下ではなく、VMwareソリューションを提供するサードパーティーに依存することを選択しました。

Azureで提供されるVMwareソリューションの名称が変更

 さて、話は戻りますが、Microsoft Azureで新たにプレビューが開始された「Azure VMware Cloud Solution」のアナウンスは以下のものです。このアナウンスの“New”が重要なのですが、これには大人の事情が相当に絡んでいると思われます。

New Azure VMware Solution is now in preview
Azure VMware Solution

 「Azure VMware Solution」と聞いて、以前からプレビュー提供中だったことをご存じの方もいると思います。しかし、以前は「Azure VMware Solution by CloudSimple」(2019年5月からプレビュー提供開始)という名称で、発表時には2020年第1四半期の一般提供の予定でした。一方のGCPもまた、2019年7月に「Google Cloud VMware Solution by CloudSimple」という名称でプレビュー提供を開始し、発表時には2019年内の一般提供の予定でした(画面1、画面2)。

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画面1:Azure VMware Solution by CloudSimpleの製品サイト(新しいプレビューの発表前)
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画面2:Azure VMware Solutionの製品サイト(新しいプレビューの発表後)

 「by CloudSimple」が示すように、両ベンダーともに、VMwareソリューションを提供するCloudSimpleのテクノロジーを利用して、自社のベアメタルインフラストラクチャ上にVMware環境を構築し、実行する形でした。

【次ページ】VMwareのプラットフォームとして優位に立ちたい各社の争い

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