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- 2024/12/16 掲載
GraphRAGとは何かを解説、従来型RAGとの違いは?活用手順もイチから紹介
英大学院修了後、RPA企業に勤務。大手通信社シンガポール支局で経済・テクノロジーの取材・執筆を担当。その後、Livit Singaporeでクライアント企業のメディア戦略とコンテンツ制作を支援(主にドローン/AI領域)。2026年2月、シンガポールで「SimplyPNG」を設立し、AI画像編集のモデル運用とGPUコスト最適化を手がける。主にEC向け画像処理ワークフローの設計・運用自動化に注力。
「グラフデータベース」とは何か?
大規模言語モデル(LLM)とベクトルデータベースを活用したRAGシステムは、ハルシネーションリスクに対する有効なソリューションとして注目を集めてきた。しかし、そのRAGでも、ハルシネーションを完全に排除するまでには至っていないのが現状だ。
そうした中で、現在注目されているのがグラフデータベースである。
この技術自体はそれほど新しいものではなく、2000年代に登場してソーシャルメディアの発展に伴い関心を集めたが、それ以降は特に脚光を浴びることはなかった。
しかし、2023年以降、RAGシステムの試行が増えるに伴い、その課題が明らかになる中で、グラフデータベースを用いたアプローチへの期待が集まりつつある。
グラフデータベースとは、データをノード(点)とエッジ(線)を使って表現し、データ間の関係性を管理するデータベースのことだ。グラフデータベースの特徴は、複雑なデータ間の関係を効率的に検索し、適切な情報をLLMに供給できる点にある。
グラフデータベースの代表的な例として、2007年にリリースされたNeo4jが挙げられる。
Neo4jは、ノードとエッジを使ってデータを表現しつつ、特に複雑な関係性を高速にクエリするために設計されている。
Neo4jのGDS(Graph Data Science)ライブラリは、ベクトル類似性の検索や、埋め込みモデルとの連携に強みを持っており、これがLLMと組み合わせる際の実用的なアプローチとして再評価されている。従来のリレーショナルな検索ではなく、ノード間の関係を活用した検索や、グラフベースの知識管理が強化されることで、より効率的なデータ検索やRAGの実現に寄与している。
GraphRAGは正確性「5割増し」?
そんなグラフデータベースを用いたRAG、いわゆるGraphRAGは、従来のRAGと比較して、より高品質な回答を生成できる可能性がある。Data.worldが2023年末に発表した調査によると、GraphRAGは平均して、LLMの応答の正確性を3倍向上させたという。43項目の業務に関する質問に対して、知識グラフを活用することで、応答の正確性が54.2%改善されたとの結果が示されている。また、マイクロソフトの研究によると、GraphRAGは従来のRAGと比較して、26%から97%少ないトークン数で回答を生成できることが明らかになった。これは、GraphRAGがより効率的であり、コスト面でも優れていることを示唆する数字だ。
さらに、リンクトインの顧客サービスアプリケーションにGraphRAGを導入した事例では、問題解決にかかる時間の中央値が28.6%削減されたという結果が報告されている。GraphRAGが回答の正確性だけでなく、スピードでも優れていることを示唆する調査結果となる。
このようなグラフデータベースの再評価の動きは、ガートナーの予測にも表れている。同社は、2025年までにデータ分析ワークロードの80%でグラフ技術が活用されると予測しており、2021年の10%から大幅な増加が見込まれている。 【次ページ】アップル財務報告書の分析で示した「圧倒的な実力」
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