• 2008/02/20 掲載

【中国ビジネス最前線(12)】中国での広報の基本-共同PR(2/2)

中国における対メディア戦略のバックアップを行う「共同拓信公関顧問有限公司」

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中国主要メディアの特徴

共同拓信公関顧問有限公司の
上海オフィス
 中国のメディアの数は日本以上だ。すべてのメディアを知り尽くすというのは難しいと思うが、どのような対策を行っているのだろう。「当社の担当者が中国全土すべてのメディアの担当者と知り合いというわけではないですが、中国と日本の差異は認識していますし、どのようなメディアでどのようにアプローチすればニュースバリューがあるのかというのは経験則としてわかっています。ニュースリリースは究極的には1媒体で1ニュース。ファッション関連のニュース1つでも、経済に強い記者とファッションに強い記者では受け取り方が違います。同じ情報をどう伝えるのかというのが異なってくるわけです(共同PRの中国現地法人の董事副総経理 堅田勝伸氏)」

 では中国のテレビ、新聞、Web、雑誌などの異なるメディアをどう使い分けるのか。中国における各媒体の特徴を説明するとこんな感じだ。

 テレビについては、全国ネットのものが国営のCCTVしかなく、あとは基本的には地元に根付いたローカル局だ。流行の最先端である上海のテレビで紹介されるとそのまま中国全土に伝播するというわけではなく、やはり地方ごとに放送する必要がある。

 新聞もまた基本的には全国紙がなく地方紙しかない。日本であれば東京で発表会を行えば全国紙の新聞に掲載され、そのまま全国に知れ渡るが、中国ではそうはいかない。日本では新聞離れが言われているが、中国では新聞の存在はまだまだ大きく、権威性は廃れていない。また、中国の新聞は、IT版、自動車版など特定の業種のニュースは週に1度しか紙面に盛り込まれない。そのため、速報性には期待できない分、週刊誌的な側面も持ち合わせている。

 業界専門新聞「国際商報」「中国消費者報」といったお堅い新聞はあまり発行部数はないが、バックに中国政府機関が絡んでいるので、中国政府関連へのアピール目的には非常に良い。掲載したらモノが売れるわけではないが、B2CならぬB2G(Business to Government)の効果が期待できる。

 雑誌はメインターゲットであるB2Cに限らず、掲載記事によって業者の仕入れの数に関係してくるためB2Bの側面もある。車やIT、ファッションなどの専門誌は日本同様、数も多いのが特徴だ。一般コンシュマー製品は、そうした専門雑誌に写真付きで紹介されると商品としての説得力を増す。

中国メディアは消費者への保護意識が非常に強い

 Webメディアはそれこそ星の数ほどあるが、新浪(SINA)捜狐(SOHU)などの全国区の著名ポータルサイトや、上海熱線のような地場の著名サイトを利用するのが一般的だ。日本では考えられないが、中国ではあるメディアが別のメディアの文章を丸ごと転載する習慣がある。そのため、1つのニュースページの中に転載記事と自社取材分の記事が多数掲載される。この習慣を確信犯的に生かせば、瞬間的に大々的に取り上げられ、中国全土のWeb利用者の目にとまる。また字数制限が厳しくない媒体なので、比較的自社の主張に基づいて書いてくれるのも特徴だ。Webメディアと一言で言っても、各ポータルサイトと、ITならIT、車なら車専門のWebメディア、それに各地域のポータルサイト、それにニュース系の新華ネットなど、目的に応じてコンタクトを取るWebメディアも変わってくる。

 「中国メディアは消費者への保護意識が非常に強いのです」と堅田氏はいう。1消費者による商品トラブルがあると「あくまでも消費者がクレームしたという事実に基づき載せただけ」というスタンスで、事の真偽を検証せずに普通に記事にしてしまう。しかも、その記事が検証されることなく瞬く間に次から次へと転載される。「だからこそ危機対策としてのメディア対策が必要になる」と堅田氏は言う。

 「メディアの方に企業活動の動向を知ってもらい理解者を作りましょう。結果として記事になることはもちろん大切ですが、情報として伝えること自体にも大変意味があります。メディアはユーザーなどの各ステークホルダーの代弁者であり、メディアの信頼する先にユーザーの信頼があるのですから」



山谷剛史
海外専門ITライター。守備範囲は中国・東南アジア・インド・北欧など。現在主に中国に滞在し、中国関連の記事を複数メディアで執筆。一般誌にも時々執筆するが、とはいえノンポリティカルな執筆が基本。統計数字だけではなく、できる限り誰にでも読めて分かり、匂いや雰囲気を感じることができる記事をつくるのがポリシー。そのために裕福な人々ではなく、国民の大部分である平民層以下にスポットを当て、現地で体を張って取材。

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