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  • 2008/02/20 掲載

【中国ビジネス最前線(12)】中国での広報の基本-共同PR

中国における対メディア戦略のバックアップを行う「共同拓信公関顧問有限公司」

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中国の躍進が叫ばれてはや数年。日本人は大手企業に限らず、中堅中小企業、個人でも中国でビジネスを展開するようになった。本稿では、中国でビジネスを営む企業や個人の生活を現場の目線でお伝えする。今回、日本はもとより中国でも各企業のPR活動を支援している共同PRの中国現地法人の董事副総経理(副社長)である堅田勝伸氏に話しをお聞きした。(取材、執筆:山谷剛史)

中国での広報の基本

共同拓信公関顧問有限公司の
上海オフィスのある人民広場附近
 PR業界のリーディングカンパニーである共同PR。同社の中国での展開は1998年に中国企業との合弁会社設立に遡る。2006年11月より共同PRの100%出資の現地法人「共同拓信公関顧問有限公司」として、日系企業が多数ある上海と北京にオフィスを構えスタートした。

 共同PRの主要業務である"パブリシティ"とは、顧客のニーズにのっとり、テレビや雑誌、新聞、Webなどの記事の中にどういう形で顧客の情報を掲載するかというやり取りのこと。具体的な仕事の流れとしては、顧客からの依頼を受け、依頼に添った形で、または情報素材を加工してメディアに情報発信し、メディアが顧客の商品や企業活動などに関する記事を掲載、記者がどう思うかをフィードバックして再度効果などを検証することにある。PR会社は広告代理店と混同しがちだがビジネスモデルはまったく異なる。

 中国におけるPR市場は、2000年の時点で15億元(約220億円)だったが、2005年時点で60億元(約880億円)、2006年時点で78億元(約1,145億円)と年々拡大しており、共同PRをはじめとした日系企業のほか、欧米企業、それに地場の中国企業がしのぎを削る。

 中国で反日活動が起きた2005年より「中国でもメディア対策が必要だ」と言われ始めたが、「メディア対策ならPR会社」とまではいっていないのが現状だ。共同拓信公関顧問有限公司の董事副総経理(日本でいうところの取締役副社長)である堅田勝伸氏は、中国に進出する日系企業のPRの認知具合についてこう語る。「現在中国にある日系企業の間で、広報活動の必要性の機運が少しづづ高まりつつあると感じています。たとえば中国の現地法人に専門の広報セクションを設置するケースや、日本から広報の専任者が赴任しているケースがあり、広報を意識しようという会社が増えています。しかしその一方で、広報活動にまだまだ何も手付かずの企業も多くあります。そういった意味では広報の格差が出てきていますね。」

中国ならではのPR事情

共同拓信公関顧問有限公司 董事副総経理 堅田勝伸氏
共同拓信公関顧問有限公司 董事副総経理 堅田勝伸氏
 堅田氏は日本の共同PRで約十年PRに携わった後、2004年より合弁会社(当時)に出向し中国でPRに携わる。「広報の基本的な考え方は日本も米国も中国も同じですが、100%日本式では通用しません。日本企業の広報文化を中国でどうローカライズするか、とはいえ何でもかんでも中国式にすれば良いのではなく、そのギャップをどのように埋めていくのか?ということがキーになります」

 たとえば記者発表会ひとつとっても日本は異なり、中国では来てもらった記者にお車代を払う習慣がある。現在の日本ではありえない習慣だが、中国では誘ったほうが金を払うのが鉄則だ。「良い悪いの議論ではなく、2007年の今現在、民間企業が記者発表会に記者を誘致する場合はお車代を出すことは普通のことなのです、と中国の広報事情知らないお客様には説明しています。」

 「お客様には『じゃあ記者に(お車代を)払えばどーんと掲載してくれるのか』とよく聞かれますが、あくまでエントリー代のようなものであり記事の掲載を保障するものではないと説明しております。ただこうした習慣もいつまで続くのかわからないのでその点も注意が必要になってきます」

 また日本とは記者発表会の表現方法も違う。日本人にとって中国の記者発表の表現は大げさ、ときに過剰にさえ思える。が、日本式に淡々と発表するとメディアは受け入れないという。また日本ならではの美徳についても堅田氏は警鐘を鳴らす。「日本人の感覚だと社会貢献活動は隠して行うことが美徳ですが、1億円寄付したら1億円寄付したとしっかり言う必要があります。この国では1やったことでも声を大にして話すことが大事です」。

 では、その記者発表会ではどんな内容を発表すべきか、堅田氏はこう説明する。「中国で出す最大のニュースバリューは、この国で、もっと言えばこの地域で、この企業はどんなことをするかにあります。つまりグローバルな企業でも地域に合わせた発表をしなければならないのです。」

   「それは世界的な企業が、"おらが街"にどんな投資をして、どれだけ税金を納めて、どれだけ人を雇って、自分たちの国にどれだけ良い製品を持ってきてくれて、どれくらい豊かな生活を提供してくれるのか、どれだけ技術を持ってきてくれるのかということです。」

 「つまり、中国をどれだけ大切に思っているかを"いやらしく"言う必要があります。日本に本社があって、中国進出の支社という考えで『我々は世界500強(に入る優良企業)です』というだけのアピールは通用せず、単純に世界のブランド力にあぐらをかいてはいけません。中国では1からやり直さなければならず、そのためにはできるだけ多くのメディアに対して、自社の貢献を情報発信していかなければなりません。」

 ちなみにある欧米の化粧品メーカーは、堅田氏と同じ理論を中国で実践し大成功を収めているという。

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