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  • 2008/08/11 掲載

【連載】社内で導入するための実践「1枚企画書」講座(11)アイキャッチャーの効果的な使い方(2/3)

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執筆:竹島 愼一郎

「バリュー(価値)」と物語性

 企画では「これとこれを組み合わせると、こういう効果が得られます」というように、概要を流れで見せていったほうがわかりやすい場合があります。


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図6:物語性を凝縮して見せる「1枚企画書」
 図6は、子どもが遊ぶ携帯型ゲーム機の販売促進のため、父親にも同じものを購入してもらおうという企画案で、2つの機器間のデータ連係をスムーズに行えるタブレット付きの商品を新たに導入しようという内容になっています。

 こうした概要を説明するときも、ただ単に言葉で説明するより、図形と矢印を使って簡単なイラストを描いておくと、それだけでだいたいの説明がついてしまいます。

 それとここでの重要ポイントはもうひとつあります。それは、「なぜ企画をするのか」という根本的な問題に関わることなので指摘しておきます。

 中央を見ていただくと、親子のイラストが描かれています。これらは実は2つの基本図形(角丸四角形)で描かれたものですが、なんとなく親子だとわかるかと思います。そして、この企画は実は商品の概要を説明してそのメリットを訴求したものに見えますが、同時に、親子の関係性を改善するという社会的な意味合いを帯びているということをアピールしているのです。

 左右と下に入れた3ヵ所のイラストは商品の概要を把握してもらうためのものですが、親子はイメージイラストです。わかりやすく見てもらうイメージですが、これがあるおかげで「深夜まで働くお父さんとその子どものいきちがいを何とか改善できないか」という問題に取り組んだものだとわかるようになっています。

 企画で提案するのは商品やサービス、あるいはシステムなど何か具体的なものですが、それよりずっと重要なことは、それを企画することでどのようなことが得られるかということのはずです。「社会的な問題をなんとか解決する」とか「一日の終わりにふと和む時間を作ってあげたい」といった企業の理念や取り組み姿勢が、多くのユーザーに支持され、ひいては売上の向上にもつながるのです。

 つまり企画の中心には、「企画目的」や「企画目標」という項目だけでは語れないものがなくてはいけないのです。これを「バリュー(価値)」といいます。企画の良し悪しは「それを企画することで得られるもの」がどれだけ人に支持されるかをシミュレーションできるかどうかが決め手となるのです。

 つけ加えておくと、コンセプトというのは商品の特長を語るものだというように捉えられがちなのですが、それだけではありません。それが人の手に渡ることで享有されるバリュー(価値)をどのように見ているかということから発想されるものなのです。「うまく書く」のではなく、「その先にあるものをいきいきと思い描く」からキャッチコピーのような巧妙な表現が生まれるのです。

 洞察を必要とするのは、ほかでもなく人間の物語です。タブレット型の商品を送り届けることによって、家族の団らんに花が添えられ、一気に室内が明るくなる……といったイメージをありありと思い描くということが企画をいきいきと見せることにつながるのです。

 「1枚企画書」は、そうした物語性を凝縮して見せられる点に大きなメリットがあります。


※クリックで拡大
図7:4コママンガのように表現して
物語性を強調した「1枚企画書」
 より物語性を強調したいのであれば、第7回の「社内ルール化のための12のヒント」でも取り上げましたが、図7のように4コママンガのように表現することもできます。

 見ていくだけで話の展開がわかるので、プレゼンでは「最近私もプレゼンの準備に追われて徹夜続きのため、家ではすっかり息子にそっぽを向かれてしまっています(笑)」と、エピソード的な話を交えて内容に膨らみをつけたりするといいでしょう。

 「1枚企画書」に限らないのですが、企画書というのは1つのテーマについてたった1つの回答があるわけではありません。いろんな見せ方の可能性のなかから、その企画、提案する相手、それにどこをポイントに置くべきかを見極め、いろいろな表現方法を頭に思い浮かべたうえで、そのなかから適切なものを選択するようにします。




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