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  • 2008/08/11 掲載

【連載】社内で導入するための実践「1枚企画書」講座(11)アイキャッチャーの効果的な使い方

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たとえば映画館やチケットガイドで、予告チラシをいくつか手にとって見てみましょう。ぱっと見た瞬間、何が目に飛び込んでくるでしょうか。タイトルロゴ、欧文表記、写真やイラスト、あるいは特徴的なマークかもしれません。これらを総称してアイキャッチャーといいます。「1枚企画書」でも全体的に平板になることを避けるためそうした意匠を有効に活用します。今回は紙面にインパクトをつけるさまざまな方法についてお話しします。

執筆:竹島 愼一郎

アイキャッチャーを描き入れる


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図1:アイキャッチャーのない「1枚企画書」
 連載第7回で「1枚企画書」とは結論から見せるので理解が早いと説明しました。なかでもイラストというのは真っ先に注目を集めることができ、ほんの数秒で完成イメージをつかんでもらえる強力なツールです。

 実例で見てみることにしましょう。図1は初心者が作成するような「1枚企画書」です。



※クリックで拡大
図2:アイキャッチャーを利用した「1枚企画書」
 それに対して図2はプロによるもので、中央左寄りを見るとグラスにビールが注がれ、そこにいままさに氷が入れられようとしているイラストが描かれています。上下を比較すると、下の企画書のほうが企画の意図がストレートに伝わり、また「冷」「濃」「鮮」それにコンセプトワードの「泡ビ」と「コラボ」の文字が象徴的に大きく入れられているため、スピーディーかつ鮮やかに意味内容を印象づけていることがわかります。

 こうした絵柄のことを広告業界ではアイキャッチャー(eye-catcher)と呼んでいます。文字どおり「目を」(eye)+「とらえるもの」(catcher)の意で、ビジュアル的な意匠のことを総称していいます。この企画書例のように絵だけでなく、特別な書体で大きく入れた文字もアイキャッチャー的な見せ方のひとつです。ちなみにこれをアイキャッチと呼ぶ人をよく見かけますが、専門用語なので正確な言葉と発音で覚えておくようにしましょう。

 簡単なイラストは円や四角形、三角形といった基本図形で描くといいでしょう。

 イラストはうまく描くことより、イメージを膨らませるということが重要です。基本図形だけで描くということは、もっとも単純な形でどのような複雑な内容でも理解しやすく見せるためです。以前も説明しましたが、企画書というのはもっている内容がどんなに複雑でも、でき得るかぎり簡単に見せるということが大切なのです。

 広告業界ではキャッチコピーやデザインのラフ案を上の者がチェックするとき、よくこんなことが言われます。「それを清掃のおばちゃんや工事現場のおじちゃんに見せて、わかるかどうか聞いてきなさい」と。社内の上層部や外部のクライアントに対してだとなかなか気がつかないのですが、企画する対象というのは基本的には部外者である顧客で、そうした一般の人たちにとっても理解しやすい表現でアピールしないと、伝わるものも伝わらないのです。それは企画しようとしている商品でも、企画書そのものでも同じです。

 もうひとつ大切なことは、企画書ではイメージを固定してしまうような表現は極力避けるということです。

 たとえば新しいデジタルカメラの提案企画を第7回でお見せしましたが、PowerPointのクリップアート(既成のイラスト)を検索すればいくつかそれらしきものが出てきます。しかしそれらは、いままで商品化された機種をもとに描かれた一般的な、どこに出しても通用するようなイラストです。それに対して企画というのはかならず一回性のものです。つまり、一回一回、かならず新しい提案を行わなければならないので、こうしたイラストを無造作に使ってしまうと、「そんなの他社でもうやってるよ」という先入観を抱かれてしまう恐れがあるのです。


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図3:図2のイラストの代わりに
クリップアートを使用した「1枚企画書」
 図3は、図2のイラストの代わりにビールのクリップアートを使用したものです。一見、きれいな絵が挿入され、完成された印象を受けますが、これによって図らずも若い女性向けの商品であるというイメージが刷り込まれてしまうのです。そうした先入観は固定観念につながり、そのあとどう企画の主旨を説明しても最初に抱いたイメージを覆すことは難しいものなのです。

 なおこの企画書例の右下には図解が挿入されていて、これも有効にはたらいています。その効果と使い方については、次回最終号であらためて詳しく説明することにします。


イラストでイメージを正確に伝える

 通常、商品の企画提案をするとき、アイデアとして思い描いているモノは実在しません。

 そこで「商品の特徴」や「企画の概要」という企画書の項目の中で、「ここがこうなって、こうするとこうなる」という説明を言葉で行うわけですが、残念なことに、受け手はそうした説明には根気強くつき合ってくれないものです。

 理由は簡単です。イメージできないからです。イメージできないものをいくら説明されても、聞くだけ苦痛ですし、何とかイメージできたとしても、それはその人の過去の同様の経験をもとに類推されたイメージなので、やはり「それなら他社でもうやってるだろ」という反応が返ってきてしまうのです。

 さらにいけないのは具体的なものをその場で示すことができないと、「次回までに何か形になったものを持ってきます」と取り繕って、企画提案の結論を先延ばしにすることです。プレゼンというのは基本的に一回勝負です。それは社内でも、複数の競合他社と競い合うコンペでも同じです。

 たとえ次回以降のチャンスがあったとしても、最初である程度の感触をつかむところまでもっていかないと、次回はないものだと考えておいたほうがいいでしょう。相手から「だいたいこういったものであろう」と冷めた見方で捉えられると、あとから挽回することはなかなか難しいものなのです。

 イラストが大切だというのは、最初のチャンス、たった1回の提案で好感触をもってもらうためです。


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図4:4つの付加機能を文章で説明した企画書
 図4はサイコロ型の箱の中にサボテンを入れ、モーツァルトの音楽を聴かせると育つかどうかを調べるボックス型のキットに、いろいろな付加機能をつけて売り出そうという企画書です。機能は全部で4つあるので、周囲に4つ説明文が記載されています。

 これも一応は図解型の「1枚企画書」ですが、Wordで作るような箇条書き型と記載された内容にほとんど大差はないので、受け手の側では、いちいち読んで文章内容を理解しなければなりません。


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図5:アイキャッチャーになるイラスト入りの「1枚企画書」
 そこでこれをアイキャッチャーになるイラスト入りの「1枚企画書」に作り替えてみることにします。そうしてでき上がったのが図5の「1枚企画書」です。

 こういう描き方をするとプレゼンでは、該当するものを指し示して「最初に左上をご覧ください。これは……」と説明していくだけですみますし、相手にとってもイメージしやすいので、その場で「なんかいいかも」と思ってもらうこともできます。

 前回も説明したように、「1枚企画書」というのはスペースに制限があり、エッセンスを凝縮した表現をしてあるため、それを伝える「語り」という役目が生きてくるのです。とくにこうした商品の概要を説明する企画書の場合、イラストを中心に据え、細かな説明は極力省いて、あとは口頭で好感触をつかむよう努めるというのが秘訣です。

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