- 2008/08/05 掲載
【レポート】来て、見て、触って、体験!NECソフトのソリューションが一堂に集うプライベートフェア開催
2008年7月16日開催 「NECソフト ソリューションフォーラム 2008」
≫ 「NECソフト ソリューションフォーラム 2008」出展ソリューションのご紹介
≫【動画で見る】ブースレポート/NECソフト ソリューションフォーラム 2008
|
とはいえ、それ以前は30年来の高成長に沸いた。グローバル化とデジタル革命が社会を変え、成長の原動力になったからだ。資本主義社会は浮き沈みが激しいものの、回復が早いのも特徴だ。そのような状況でグローバリゼーションとITをどのように捉え、ビジネスに活かせばよいのか。
いまやビジネスを取り巻くグローバル化は、既存の産業構造を根底から揺さぶり、従来までの企業戦略は通用しなくなっている。伊藤教授は、アップルのヒット商品「iPod」などを例に挙げ、いま起きている「スマイルカーブ現象」について説明した。
これは、ビジネスの付加価値や利益を川上から川下へ並べると、そのカーブが微笑んだ口のような形になることからつけられた現象だ。つまり、従来の加工・組立型製造業を中心としたビジネスモデルはカーブの中央に位置し、収益率がもっとも低い部分に当たる。グローバル競争のもとで台頭するアジア諸国を前にして、もはや日本はこの分野では戦えない状況だ。
|
では今後、我々はどうすればよいのか。品質・性能だけでは勝てないため、ビジネスモデルでの差別化が必要だ。とはいえ、中間製品はサービス・機能での差別化が難しい。そこで伊藤教授は、収益性が向上するスマイルカーブの上流・下流で勝負することによって、ビジネスチャンスを広げられると説く。
「日本が世界の動きについていくには、上流でニッチなオンリーワンを目指すか、下流でユーザーニーズにマッチした付加価値のある製品を提供していくべき。その道具として、ITは重要な意味合いをもっている」とし、講演を終えた。
|
TKRの宇佐美純夫氏は、導入システムの変遷について説明した。1990年後半に起きた産業構造の変化に伴い、同社は質的変革を進めた。アジア新興国企業との競争が激化し、開発リードタイムの短縮化が求められるようになったからだ。
そこで、まず生産管理とEDIシステムを刷新。2003年からは、シンガポール、マレーシアなどの海外5拠点を結ぶグローバルSCMを構築した。これは「TIME」という自社開発システムで、NECの高速MRP(Material Requirement Planning)エンジンを搭載したものだ。パートナーとの連携には、NECソフトの製造業向けWebEDIパッケージ「EBWeb」を採用。これらの施策により、需要変動への対応力が強化された。
宇佐美氏は今後のIT戦略についても言及した。中堅製造業を取り巻く最近の環境は大きな変化がある。かつて脅威だったアジア新興国企業との協業や、製品の軽薄短小化、製品ライフサイクルの短命化が挙げられるという。その対策として、同社は最新原価計算システムの全拠点導入、PLM/PDMシステムの再構築、内部統制やワークフローの見直し、BCPなどを推進中だ。最終的に統合データベースを構築し、見積もり段階からシミュレーションを行って、コスト管理を徹底する。その中核となるソリューションに、NECのPLM/PDMシステム「Obbligato II」を選定し、新システムの構築を進めているところだ。
|
同社のシステムは現在、第4次システムまで進展中だ。第1次は同社の前身となるベストのシステムを踏襲、第2次では100店舗対応を目標にC/Sシステムを導入。この時点からNECソフトがSIerとして参加した。さらに定番商品を効率的に扱うPOSシステムも導入した。第3次ではOLTP型の基幹MDシステム構築と会計・人事・給与システム、物流システムを追加構築。そして第4次システムでは、新しくWeb型POS(無線POS、POT)を導入するなど、店舗SA業務のWeb化を図った。
第4次システムの狙いは、3000店舗対応の基盤づくりを前提にしたものだ。スピードの変化へスムーズに対応できるWebシステムの構築を目指した。薄利多売の商売のため、さらなるローコスト・オペレーションを追求しながら、全体システムを止めず、発注業務を滞らせない「安心」「安全」「安定」の3Sを実現。まだWebPOSは30店舗ほどの導入で、全体評価はこれからだというが、現時点でも大きな効果が得られているそうだ。
このように成長著しい同社だが、システム構築や事業改革のうえで、アウトソーシングは必須の要件だった。たとえば、人事・給与といったシステム導入だけでなく、採用受付、給与計算の業務もBPO化している。こちらはNECソフトの関連会社「VALWAY121ネット」に依頼した。事業スタート時から必要最小限の店舗人員で済んでいるのは、このアウトソーシングに負うところも大きいという。
ナレッジマネジメントシステム
|
出光興産では、社員の高齢化や退職による世代交代から、運転操業に関する技術・ノウハウの継承が求められていた。また従来から情報の入手・検索、報告に時間が掛かっていた。
そこで数値・文字の情報をスムーズに取り出せるような情報共有や一元管理の仕組みとして、「基幹業務系」「リアルタイム操業系」「知識・ノウハウ系」で構成する「仮想操業管理センター」のシステムを構築。
このうち知識・ノウハウ系は文字情報が主体で、技術レポートやドキュメント、ノウハウなどの暗黙知を形式知として収集・整理する目的がある。同社は、NECソフトのナレッジマネジメントシステム「KnowledgeWorld」をカスタマイズし、「IPOS_I」と呼ばれるシステムを完成した。現在、IPOS_Iには100万件の運転情報(引継ぎ情報・定期作業情報)、2万5000件の安全情報(ヒヤリハット情報・事例情報)、30万件の技術情報(出光技術資料)が蓄積され、それらの情報を一元的に検索・活用できるようなった。
とはいえ、IPOS_Iはすぐに定着したわけでないという。各部署のアクセス状況を把握したり、その報告によって競争させたりと、社内啓蒙活動が必要だった。その際には、現場の人たちにシステムを利用してもらうために、NECソフトの担当者が早朝から実際の業務引継ぎに立ち会ったり、利用者からの要望に迅速に対応したりという取り組みを行ったという。これらの取り組みも、ナレッジシステム定着に大きく貢献していると村上氏は語る。このような努力が実を結び、引継ぎ時の操作未実施項目や懸案事項に抜けがなく伝達できるようになった。
また、安全情報の迅速な共有により、保全担当者の業務効率も向上。電子化によって素早く目的情報を検索できるなど、技術伝承の問題もクリアできた。現在、IPOS_Iは出光興産のシステムに必要不可欠なものに成長した。
|
関連コンテンツ
PR
PR
PR