- 2025/11/12 掲載
【保存版】パナソニック流「生成AI活用術」、担当者が明かす「月18万時間削減」の秘訣
連載:マスクド・アナライズの生成AI最前線
AIスタートアップ社員として、AIやデータサイエンスについてSNSによる情報発信で注目を集める。現在は独立して、イベント登壇、研修・セミナー開催、書籍執筆、企業向け生成AI・ChatGPTの導入活用支援などを手掛けている。支援実績は北海道庁、日立製作所、JR西日本、シーメンスヘルスケアなど。著書に「会社で使えるChatGPT」「AI・データ分析プロジェクトのすべて」がある。
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国内9万人の社員が使う「PX-AI」の正体
(マスクド・アナライズ)──パナソニックグループにおけるご自身の活動と、生成AI導入推進に至る経緯はどのようなものでしょうか。パナソニック オペレーショナルエクセレンス 橋川 昌和氏(以下、橋川氏):パナソニックグループにおいては、DXを核に据えながら、情報システム、オペレーティング・モデル、企業カルチャーを丸ごと大胆に変革し、競争力強化につなげていくグループ全体の取り組み「Panasonic Transformation(PX)」を推進しています。
私の役割は、このPXを生成AIの活用によって加速させることです。具体的には、ChatGPTをベースにした「PX-AI」をグループ全体に提供し、全従業員が生成AIに触れる最初の入り口をつくることで、AIによる業務変革を促進しています。
──どうやって自社独自の生成AI環境を構築して、グループ全体に全国展開しましたか。
橋川氏:ChatGPTが発表されたころからパナソニック コネクトが調査や研究を進めていました。生成AIに関する知見を豊富に有する同社と連携しながら、我々はPX-AIの開発を進めて、2023年4月からグループの全従業員に提供を開始しました。
グループ全体では国内で約9万人の従業員がいます。これだけ大きな組織なので、通常であれば、情報を広げることは難しかったと思います。しかしコロナ禍を経て、Teamsなどで従業員同士がつながっている環境を構築できていたので、物理的な距離における差などは感じずに展開することができました。
生成AI導入時の「セキュリティ対策」
──全社展開においては、セキュリティ対策を懸念する企業も多いです。橋川氏:生成AIが登場したころ、ビジネスで利用するには情報漏えい対策などのセキュリティが課題でした。そこでグループ全体に向けてガイドラインを発表して、「こういうことはしないでください」という注意事項を中心に案内しました。加えて技術的な安全性の確保については、生成AIが登場する以前からクラウドの利用などを含めて、システム上の欠陥や人為的なミスを防ぐ対策を入念に構築していたので、これらを基に安全な環境を構築できました。
パナソニック オペレーショナルエクセレンス 井上 幸則氏(以下、井上氏):PX-AIの導入当初は安全性について、利用者から「入力してはいけない情報は何か?」などの質問が多く寄せられました。たとえば「お客さまからお預かりしているデータをどこまで読み込ませて良いですか?」という内容です。
情報システム本部ビジネスITソリューション部 シニアエキスパート
井上 幸則氏
こちらで判断できない場合は、各事業会社の情報セキュリティ担当に相談してもらうこともありました。今ではこうした質問も減っていますが、当時は使うデータの可否を判断することが難しかったです。 【次ページ】グループ全体で「なんと約○○万時間」削減
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