- 2025/09/05 掲載
スタッフ余るもマネージャー足りず…AI普及でコンサル人材が直面「残酷な雇用の現実」
1986年、早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。40年にわたり経営コンサルティングに従事。戦略系、デジタル・IT系、フィナンシャル・アドバイザリー系と複数の外資系コンサルティング会社にて数多くの案件を遂行。この20年はローランド・ベルガー、KPMG FASなどでパートナーを務め2019年独立。現在はDX、イノベーション創発などのテーマにおいて、約70名の独立コンサルタントとともにチームを組成して企業支援を行う。湯河原在住。週末は自宅でドックカフェを開く。愛犬飼育管理士、わな猟狩猟免状を保有。
ホワイトカラーの仕事はAIで置き換えられる?
生成AIが仕事を奪うのか否かは、それなりの人気コンテンツや研究テーマになっているようだ。「生成AIは協働者であって、ヒトはヒトにしかできない仕事へフォーカスできる」「生成AIの普及は、ヒトに新しい仕事の機会を創出する」といった見解が多かったようだが(今でも多いかもしれないが)、「AIはヒトの仕事を代替する」(米フォード・モーターのファーリー社長談)といった見解も公の場で見られるようになってきた。
いずれの見解も、業界・職種・環境などによって正しくもあり、誤りでもあるのだろうが、大事なポイントは「生成AIで代替可能なタスクは増える」ことは両者に共通の見解ということだ。
今回はホワイトカラーのなかでも(若者や学生に)人気職種でもあり、高付加価値な業界・職種と言われている経営コンサルティング・ファーム(業界)への影響を考えてみたい。
「スタッフの仕事は半減」はありえそうな話
コンサルティング・ファームは、コンサルタントという“1つの職種”が、スタッフ、マネージャー、パートナーの3つのクラス(階層)で成り立っているシンプルな企業体だ。それぞれのクラスの役割は、スタッフ(アナリスト、コンサルタント、シニア・コンサルタントなどの役職名が多い)はプロジェクト推進の準備、マネージャー(そのなかでも職位が上がるとシニア・マネージャー、ディレクターという役職名が多い)はプロジェクトの現場監督、パートナーはプロジェクト全般(営業から終了まで)の責任者といったものになる。
生成AIと“相性が良い”、つまり代替されやすいのは、スタッフの仕事だ。
彼女ら・彼らが担うタスクを思いつくまま挙げてみると、必要な資料の読み込みと整理・分析、さまざまなソースからの調査・分析、クライアントや社外エキスパートなどへのインタビューや打ち合わせ、それらの議事録などの作成、検討用の資料や報告書の作成といったものになる。
対人の行為のインタビューや打ち合わせ以外のタスクは、生成AIと相性が良いことはイメージできるだろう。
スタッフのどの程度が代替可能かについては、さまざまな見解があるだろうが、ざっくりと半分程度、代替が可能だと思う。
この数値感は私見だが、経験豊富な友人のコンサルタント間でも違和感も無いので大きく外してはいないとさせていただくと、ファームへの影響そして選択肢は、スタッフの半減か否かということになってくる。 【次ページ】「スタッフの雇用の維持をしようとしても無理」そのワケは?
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