- 2025/12/23 掲載
政府「サイバーセキュリティ戦略」を閣議決定 警察と自衛隊が共同で能動的防御体制を強化
「能動的サイバー防御」を導入、警察庁と自衛隊の役割を明確化した新戦略
閣議決定された戦略では、政府一体でサイバー攻撃に対応する司令塔機能を強化し、情報収集・分析体制を高度化することが掲げられている。従来の受動的な防御に加え、脅威の兆候を早期に検知し、事前に防御措置を講じる「能動的サイバー防御」への移行が主要な柱となっている。この能動的防御策は、政府・警察・自衛隊による連携強化を前提とし、攻撃元のネットワークへの対抗措置や、攻撃対象システムの防護といった積極的な対応を可能にする法制度の整備が進められている。
警察庁と自衛隊の連携強化は、政府が成立させた「サイバー対処能力強化法」等の法的基盤に基づいて進められる。これらの法律は重要インフラを標的としたサイバー攻撃発生時に、警察が初動対応を主導し、必要に応じて首相指示の下で自衛隊のサイバー部隊が支援する体制を想定している。また、政府・企業間での攻撃情報の共有義務化や、脅威偵察のための通信情報利用などの措置も規定される方向で検討されている。
新戦略では、国家全体としてサイバー攻撃の被害を最小限に抑えるため、官民連携や民間事業者への支援・協力体制強化も重視される。企業・自治体のシステム防護力向上を支援し、サイバーセキュリティ人材の育成や技術革新を促進する施策が盛り込まれる見通しだ。政府は、欧米主要国と同等以上のサイバー対処能力の確立を目指すとしており、緊急事態における迅速な法執行機関と自衛隊の連動した対応体制を整備する方針を打ち出している。
一部の報道では、この戦略は単なる防御強化に留まらず、国際的なサイバー安全保障協力の枠組み強化や、政府機関・防衛産業・インフラ事業者との共同演習・情報共有の拡大によって、日本のサイバー防衛力全体を底上げする狙いもあると指摘している。政策立案者は、サイバー攻撃がもはや国家間の安全保障競争の一要素となっていることを踏まえ、積極的な防御戦略の必要性を強調している。
政府は今後、新戦略に基づく具体的な実施計画を関係省庁・機関と連携して策定し、原則2027年度を目途として能動的防御体制の本格運用に向けた制度・体制整備を進める方針だ。これにより、日本のサイバー安全保障態勢は従来以上の統合的能力と柔軟性を持つ方向へ転換するとみられている。
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