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  • 2008/12/10 掲載

IPTVとは?インターネットTVとの違い、本格普及の可能性を探る【2分間Q&A(49)】(2/2)

IP網を伝送経路としたビデオコンテンツ配信の仕組み

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今、なぜIPTVなのか?

 IPTVのプレーヤーのうち、最もIPTVの普及を切望しているのは通信事業者であろう。2008年11月に行ったNTT、NTT東西の2008年度中間期決算に関する記者向け発表会では、FTTH加入者が伸び悩んでいることを明らかにし、このてこ入れ策としてIPTVサービスの強化を筆頭に挙げている。

 NTTグループはブロードバンド黎明期からビデオコンテンツをブロードバンド普及のキラーコンテンツと位置づけており、積極的な投資を行ってきた。しかし、加入者が思うように伸びなかった。ちなみに、オンデマンドTVの2007年9月の加入者数はおよそ10万人、4th Mediaの加入者数は2006年10月の時点でわずか5万人だった。

 NTTでは、NGNサービスを盤石なものとし、伸び悩むFTTH事業を立て直すには、IPTVの普及は必須と考えているようだ。そのために、KDDI、ソフトバンクと協調し、IPTV市場を拡大することは大きな意義がある。なおNTTでは、NGN商用サービス開始と同時に4th Media/オンデマンドTV/OCN TVを統合し、2008年3月より「ひかりTV」としてサービスを提供し、地上デジタル放送の再送信も行っている。

表2ひかりTVのサービス内容
項目内容
サービス内容・専門チャンネルの視聴:CS/CATVなどで放送されているものとほぼ同等の専門チャンネル(約70チャンネル)
・地上デジタル放送の視聴(対応エリアは2008年11月現在、東京、大阪の一部のみ)
・ビデオオンデマンドサービス(総本数1万本)
・カラオケサービス
契約条件NTT東西の「Bフレッツ」または「フレッツ光ネクスト」回線の契約が必須。ただし、NTT西日本で「Bフレッツ」を利用する場合、別途「フレッツ・v6アプリI(IPv6サービス)」の契約が必要。地上デジタル放送の視聴には「フレッツ光ネクスト(NGNサービス)」が必須。
月額料金・お値打ちプラン(全サービス利用可):3675円
・テレビお薦めプラン(VODサービス以外の全サービス利用可):2625円
・ビデオざんまいプラン(テレビベーシックチャンネル、プレミアムチャンネル以外):2625円
※スターチャンネルなど、プレミアムチャンネル、VODは別途有料オプション(追加料金)
その他月額料金チューナーレンタル費用:525円


IPTVは本当に普及するのか?

 しかし、このような通信事業者の思惑とは裏腹に、家電メーカー、テレビ局にとって、収益面でのメリットを見極めるのは難しく、本格的な普及はまだまだ微妙な状況と言える。ブロードバンド市場が立ち上がって以来、誰も事業単体での黒字化を達成したことのない分野であることを考えると、当然と言えよう。

 この根本的な問題の1つとして挙げられるのは、コンテンツの問題だ。IPTVのコンテンツはBS・CS、地上デジタル放送と同じであり、IPTVでしか視聴できない魅力的なコンテンツや特筆すべき機能はほぼ無いに等しい。CATVとほとんど同じ番組、あるいはチャンネル数を減らしたものを提供しているのが現状だ。

 この点で、期待されているのが2008年12月から開始される「NHKオンデマンド」だ。国内最大手の「J:COM」でも提供することから、CATVとの競合は避けられないものの、現在コンテンツ配信の最大の障壁である著作権の権利の許諾について、NHKが積極的に許諾交渉を行うことで、業界のルール・処理スキームができ、民放の参入も増えるのでは、との期待が高まっている。

 NHKオンデマンドは資料的価値のある番組や、見逃した番組がいつでも視聴できるのは魅力だ。とは言え、インターネットを通じて誰でも視聴できるインターネットテレビ型のサービスであり、NTTのひかりTV、アクトビラにもVODサービスとして提供しているに過ぎない。

 しかしNHKオンデマンドは、ひかりTVで視聴すればIPTV、PCからアクセスすれば「インターネットテレビ」という状況であり、伝送網の規定や携帯デバイスへの配信に関する仕様などで目新しいものはない。これらの既存サービスをIPTVの完成形と考えるのは時期尚早だろう。

図2
※クリックで拡大

図2 NHKアーカイブスのビデオ配信の仕組み



 視聴率や広告収入面でテレビ業界そのものが低迷の兆しを見せる今、IPTVがテレビ放送の再送信を柱にしているのでは将来は危うい、との見方も有力だ。IPTVは、「放送中の番組の巻き戻し再生」や「見逃し放送のVODでの提供」といった既存の放送の利便性の向上をはじめ、YouTubeなどに見られるユーザ参加型メディア、そして、モバイル端末での利用、といった新たな展開の可能性を持っている。だが、IPTVが既存のテレビを超える新たなメディアとして発展するには、まだ相当な時間がかかりそうだ。

図3
※クリックで拡大

図3 通信事業者、テレビ局、家電メーカのそれぞれの思惑の違い

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