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  • 2024/01/26 掲載

HAPS(ハップス)とは何かをわかりやすく解説、期待集める「空飛ぶ基地局」の破壊力

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HAPS(ハップス)とはHigh Altitude Platform Stationの略称で、4Gや5Gといった地上系ネットワークではない、非地上系ネットワーク(NTN:Non-Terrestrial Network)のうち、無人航空機などを利用し、成層圏から広域な無線通信サービスを提供するシステムのこと。山岳部や離島など、通信ネットワークが整っていない地域でも利用できる点が大きなメリットだ。このHAPSが、2027年の実用化に向けて大きな注目を集めている。PwCコンサルティングのシンクタンク、PwC Intelligenceにおいてディレクターを務める小林峰司氏にHAPSの技術詳細や商用化に向けた最新動向について解説してもらった。
執筆:フリーライター 岡崎勝己

執筆:フリーライター 岡崎勝己

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空飛ぶ基地局「HAPS」への注目が集まっている

“空飛ぶ基地局”「HAPS」とは何か?

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PwCコンサルティング
ディレクター
小林 峰司氏
NTTコミュニケーションズ (NTT Com)、米国Verizonにて、情報通信業界での15年以上のグローバルビジネスにおける実務経験を経てPwCコンサルティング合同会社に移籍。通信業界向けアドバイザリー業務に加え、PwC Intelligence(シンクタンク部門)の創設メンバーとして、テクノロジー分野をリードする。
 宇宙空間を含めた地球の上空に、通信衛星などの飛行体を用いて通信ネットワークを構築する非地上系ネットワーク(NTN:Non-Terrestrial Network)

 その中で、無人航空機などを基地局として利用する次世代通信インフラとして期待されているのが「HAPS」だ。HAPSを活用すれば、4Gや5Gといった地上系ネットワークが届かない離島や山間部などにおいても専用端末を用いることなく、一般的なスマートフォンで会話やデータのやり取りが可能になる。

 国内外の情報通信業界で15年以上グローバルビジネスに携わり、無線通信技術に精通するPwCコンサルティング ディレクターの小林峰司氏は、HAPSに注目が集まる理由を次のように語る。

「大容量データの伝送ニーズが高まる中、従来からのGEO(Geostationary Earth Orbit:高度3万6000kmの静止軌道)による衛星通信では、地上との距離が要件を満たす上で技術的に大きな制約になります。これを受け、LEO(Low Earth Orbit:高度2000kmまでの低軌道)の利用が広がっていますが、地球全体をカバーするには数千台もの人工衛星が必要となるため、実現はコスト的に容易ではありません。HAPSはこの中で、現状のカバーエリアの“穴”を埋める現実的な策として注目を集め、グローバルで研究開発が進められているのです」(小林氏)

HAPSと衛星通信は何が違うのか?

 航空機を用いるHAPSでは、ロケットの打ち上げが伴う衛星通信よりも技術リスクがはるかに低い。加えて、高高度にあるため、通信カバーエリアが1台で半径100kmと、地上基地局の半径数km~十数kmより格段に広いというメリットもある。

 さらには通信衛星に比べれば非常に低高度のため、伝送遅延は片方向で0.3ミリ秒にまで抑えられる。

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HAPSはNTNの中でも衛星通信より高度が低い
(出展:PwCコンサルティング)

 一般的に通信衛星は打ち上げ後、10年以上の利用が想定されている。そこで悩ましいのが、宇宙空間に存在するがゆえメンテナンスを行ったり、最新技術を物理的に導入したりすることが難しいという点だ。対してHAPSは着陸時のメンテナンスにより、最新技術をタイムリーに取り込めることが強みとなる。

成層圏の長時間飛行により“途絶えない”通信を

 HAPSの実用化に向けて鍵を握るのが、基地局を搭載する無人航空機、いわゆるHAPS機だ。国内外においてHAPSの商用化が進み、「空飛ぶ基地局」として成層圏の無人航空機を活用して、地上との通信ネットワークを実現する高高度の通信基地局プラットフォームの構築が期待されている。

 HAPS機の開発は現在進行形で進められており、宇宙通信の構成要素としての商機の大きさを踏まえ、グローバルの“超大手”が挑戦している。

 国内でもテストフライトにおいて、成層圏でのLTE通信によるビジオ通話に成功したり、飛行と通信の実証実験を実施したりしているところもある。

「HAPS機は通信を維持し続けるため、可能な限り長時間飛び続けることが望ましい。そのため機体開発の方向性としてはとことん軽量化し、翼に配備したソーラーパネルでモーターの電力を賄ってプロペラを動かすという手法が主流となっています。現在、時速100km前後で約2カ月の連続飛行が可能なことが各種実証により確認できています」(小林氏)

 HAPSが「成層圏プラットフォーム」と呼ばれるのも飛行時間と無関係ではない。成層圏とは高度10~50kmの地球の上空を指し、HAPSの無人航空機はいずれも高度20km前後を飛行する。それには次のような理由がある。

 まずは、空気密度が非常に希薄なことだ。地上と比べて約1/20とされ、それだけ飛行時の空気抵抗が少なく、エネルギー消費を抑えられる。  加えて、気候が安定していることも大きい。成層圏では太陽の紫外線をオゾンが吸収し、高度が上がるほど気温が上がり、逆に低高度になるほど気温が低くなる。その結果、高度20km前後は空気の対流が生じにくいためである。

「HAPSの高度は、その点でも絶妙なのです」(小林氏) 【次ページ】HAPSが地上と通信する3つの形態

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