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  • 2023/12/21 掲載

衛星通信とは何かをわかりやすく解説、スマホでどう実装?どんな種類ある?NTNまとめ

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スマートフォンをはじめとする移動体通信の課題の1つが、基地局配置における物理的な制約だ。海上や山間部などの僻地まで含めた網羅的な配置はコスト的にも難しく、そのことが無線のメリットである「場所を問わない通信」の大きな障壁になっている。この課題克服に向け、にわかに注目度を高めているのが、宇宙も含めた上空に基地局アンテナを配置する「非地上系ネットワーク(NTN:Non-Terrestrial Network)」であり、その中で最も主要な「衛星通信」だ。PwC コンサルティングのシンクタンク、PwC Intelligenceにおいてディレクターを務める小林峰司氏が、NTNと衛星通信を実現する技術などについてわかりやすく解説する。
執筆:フリーライター 岡崎勝己

執筆:フリーライター 岡崎勝己

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衛星通信の方式と具体的なユースケース
(後ほど詳しく解説します)

“空”から場所を問わないネット接続を実現する

 非地上系ネットワーク(NTN:Non-Terrestrial Network)とは、通信衛星や無人航空機、ドローンなどを用いて、宇宙を含めた上空に構築する通信ネットワークである。

 一番のメリットは、地理的な制約から基地局配備が物理的に困難なエリアでの通信を実現できる点だ。災害や戦争などによって地上の通信インフラが甚大な被害を受けた際には、その代替として通信接続性も確保できる。

 無線通信技術に精通するPwCコンサルティング ディレクターの小林峰司氏は、「5G通信やIoTなどのデジタル技術が進展する一方で、今でもインターネットアクセスが困難な地域は地球全体で少なくありません。NTNはこの問題を解消し、『デジタルの恩恵を僻地や海上、宇宙空間などに拡張する』との5G通信の目標達成の現実解として、研究開発と商用化、標準化が現在進行形で進められています」と解説する。

 NTNで用いられる飛行体の中でも特に大きな役割を果たすのが、高い高度に位置し、広範な通信エリアをカバーできる「衛星通信」だ。

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北米や欧州のほか、アジアでは中国やインド、豪州で衛星通信プロジェクトが進行中だ。グローバルインターネット接続やIoT、M2M通信などを狙いとする

 衛星通信とは、地上数百~3.6万キロメートルの静止軌道上に打ち上げられた衛星が地上からの電波を受信し、その電波を反射・増幅させて行う通信のこと。世界のほぼ全域をカバーし、テレビ映像や電話、データの通信が可能になる。

 従来は巨大なパラボラアンテナを使って電波を送受信する高額なサービスのイメージだったが、今は一般家庭でも月額1万円未満から利用できる身近な存在となっている。

 デジタル化の急進を背景にしたスマートモビリティやスマートシティ、環境モニタリングなどでのデータ収集のほか、航空機向けのブロードバンド接続などの新サービスの手段としても期待を集め、米国や英国、豪州、中国、印などの数多くの事業者が各国の政府の支援の下、インターネット接続やIoT、M2Mなどを狙いとした衛星の打ち上げを加速させている。

衛星通信を実現する3つの通信衛星

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PwCコンサルティング
ディレクター
小林 峰司氏
NTTコミュニケーションズ (NTT Com)、米国Verizonにて、情報通信業界での15年以上のグローバルビジネスにおける実務経験を経てPwCコンサルティング合同会社に移籍。通信業界向けアドバイザリー業務に加え、PwC Intelligence(シンクタンク部門)の創設メンバーとして、テクノロジー分野をリードする。
 より詳細を見ていこう。衛星通信で用いられる衛星は、その飛行高度からGEO(Geostationary Earth Orbit:高度3万6000kmの静止軌道)とMEO(Middle Earth Orbit:高度2000km~3万6000kmまでの中軌道)、LEO(Low Earth Orbit:高度2000kmまでの低軌道)の3つに分類される。そのうち、従来からの衛星通信で主に用いられてきたのが、地上に配備した巨大なパラボラアンテナで通信を行う静止衛星のGEOだ。

 対して、近年になり活用が本格化しているのが、商用衛星通信サービスで採用されているLEOだ。

 LEOはGEOと異なり、地上から見ると高速移動しており、時間とともに衛星の通信エリアは移動する。この状況で、LEOでは、打ち上げ済みの多数の衛星を連携(コンステレーション)させ、各エリアをカバーする衛星を継続的に切り替え、地球全体を網羅した通信を実現する。

「2000年代後半から各国で衛星の打ち上げが活発化し、その中で技術革新による小型ロケットや再使用型ロケットの登場、さらに衛星の小型化や相乗りなどの活用により、ロケットの調達や打ち上げ、軌道投入などのコストが格段に低減しました。これが、衛星通信市場の活性化の大きなドライバーとなっています」(小林氏)

 高高度に位置する衛星ほど地上のカバーエリアが広く、GEOであれば計3機で地球全体をカバーできる。半面、地上との距離が遠く、遅延が大きいのが難点だ。その点、LEOは高度が格段に低く、地球をくまなくカバーするには多くの衛星が必要となるが、通信遅延はそれだけ小さい。上空550kmのLEOであれば伝送時間を片道で約0.01秒にまで抑えられるという。

ユースケースに応じた3つの通信方式

 LEOによる衛星通信の地上との通信形態はユースケース別に次の3つが存在する。

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衛星通信の利用形態は、「衛星ブロードバンドインターネット」「4G/5Gバックホール」「モバイルデバイス直接接続」の3つ。普通のスマホで衛星通信を利用可能な時代に突入している
(出典:PwCコンサルティング)

 1つ目が、通信インフラが脆弱である状況ないし、大規模災害が発生した状況を想定した「衛星ブロードバンドインターネット」だ。フラットパネルとCPE(Customer Premise Equipment:加入者宅内設備)を地上に配置し、端末から衛星を経由してNTN地上局、インターネットへと接続する。

 端末の通信可能エリアはフラットパネルに接続されたWi-Fiルータの電波や有線LANの届く範囲となる。

 2つ目が、地上にある携帯基地局とコアインフラを衛星通信でつなぐ「4G/5G基地局バックホール」だ。この利用法の想定ユーザーは携帯キャリアだ。

「4G/5G基地局バックホールでは従来、基地局を結んでいた光ケーブルを衛星通信により代替します。基地局配備の手間とコストを大きく削減でき、離島や山間部などの僻地などで通信エリアを容易に拡大できます」(小林氏)

 モバイル端末が通信できるエリアは、地上にある携帯基地局のカバー範囲内となる。

 3つ目が、衛星通信の一般利用の起爆剤として期待を集める「モバイルデバイス直接接続」である。一部のスマートフォンに搭載された緊急時のSOS送信機能にはすでに導入され、商用衛星通信サービスにも今後採用される予定である。

「モバイルデバイス直接接続方式で画期的なのが、特別な端末を用意することなく、一般的に利用されているスマートフォンで利用できる点です。衛星通信が一気に身近なものになります」(小林氏) 【次ページ】早ければ25年にも5Gで衛星と直接通信

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