• 2026/03/28 掲載

米連邦地裁、トランプ政権によるAnthropicへの制裁を一時差し止め

「サプライチェーンリスク」指定を違法と判断

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米カリフォルニア北部地区連邦地方裁判所は2026年3月26日、米人工知能開発大手Anthropicが米国防総省などを相手取った訴訟で、同社への制裁措置を一時的に停止する仮処分命令を下した。トランプ政権による「供給網リスク」指定および連邦機関での同社製AIの使用禁止措置は、合衆国憲法修正第1条で保障された言論の自由を侵害する違法な報復であると判断した。
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(Photo Dario Amodei/WORLD ECONOIC FORUM 2026)
 Anthropicは自社のAIモデル「Claude」について、完全自律型兵器や大規模な国内監視への利用を禁じる倫理的ガードレールを設けている。米国防総省がこれらの制限の解除を求めたものの、同社がこれを拒否して安全方針を公にしたことが今回の対立の引き金となった。

 トランプ大統領とヘグセス国防長官は2026年3月上旬、Anthropicを「供給網リスク」に指定し、全連邦機関に対して同社技術の使用を即時停止するよう命じた。通常、この指定は外国の敵対的勢力に関連する企業に適用するものであり、米国内のテクノロジー企業に対して発動するのは異例の措置である。指定が維持された場合、連邦政府機関での利用が禁止されるだけでなく、米軍と取引のあるすべての民間業者もAnthropicとの商業活動を制限される。同社の経営や関連するAI開発プロジェクトに甚大な被害をもたらす事態に直面していた。
 
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【図版付き記事はこちら】Anthropic米政権の「供給網リスク」指定差し止めの仮処分(画像:ビジネス+IT)

 これに対しAnthropicは3月9日、制裁措置は適正な手続きを経ていない行政手続法違反であり、同社を不当に罰する憲法違反であるとして米政府を提訴した。同時に行政処分の効力停止を求める仮処分の申請も行っていた。

 審理を担当したリタ・リン判事は26日の決定文で、政府の調達方針に対してAnthropicが公的批判を行ったことを理由に同社を罰する行為は、古典的かつ違法な修正第1条(言論の自由)への報復であると断じた。さらに、政府と意見が合わない米企業を潜在的な敵対者や破壊工作員と見なす権限を政府に認める法令は存在しないと指摘する。一連の制裁措置を「オーウェル的(全体主義的)」と強く批判した。

 今回の仮差し止め決定は最終的な本案判決が出るまでの暫定的な措置となる。Anthropicは当面の間、政府や関連企業との取引を継続できる。ただし裁判所は、政府側が控訴裁判所へ決定の緊急停止を申し立てる猶予を設けるため、命令の効力発生を7日間遅らせている。国家の安全保障を名目とした政府のAI調達方針と、テクノロジー企業の自律性・企業倫理を巡る司法の場での争いは今後も続く。

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