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- 2026/10/09 06:40 掲載
大型展示場に入札「ゼロ」…経済成長で古謝知事が問われる「前県政の重すぎるツケ」
1979年生まれ。京都大学経済学部卒業。国会議員秘書を経てプレジデント社へ入社、プレジデント編集部配属。経済誌としては当時最年少でプレジデント編集長。現在、イトモス研究所所長。著書に『週刊誌がなくなる日』など。
「所得500万円」は実現可能か? 新知事が今すぐ捨てるべき“前県政の遺産”
沖縄県知事に古謝玄太氏が就任した。古謝知事が最初にやるべきことは、玉城デニー前知事が失敗した大型事業を急いで完成させることではないはずだ。費用に見合う効果のない事業を止めること。沖縄の経済成長に必要なのは、国から予算を多く取る政治ではなく、民間が継続して所得を生む環境をつくることだ。
古謝氏は、知事選挙で、1人当たり県民所得を10年で500万円にする目標を掲げた。県民所得は、給与や企業利益、財産所得などを合わせた額だ。沖縄県の2023年度の1人当たり県民所得は231.5万円。500万円にするには、毎年同じ割合で増えるとすれば年平均約8%の伸びが要る。極めて野心的な目標だ。
だからこそ、新県政は行政の支出額を成果と取り違えてはいけない。道路や港湾のように企業活動の土台をつくる公共投資には役割がある。一方、需要の弱い施設を公費で造っても、工事の注文は完成すれば途切れ、その後は維持費の負担が残る。沖縄経済を安定的に成長させ、県民所得を増やすのは、その後も続く企業の売り上げ、利益、賃金である。
入札参加「ゼロ」の衝撃…民間企業の“冷酷な判断”
この違いを示す教材が、玉城県政のマリンタウン国際会議・大型展示場計画だ。与那原町と西原町にまたがる地区に大型施設を造り、会議や展示会を呼び、宿泊や飲食の需要を増やす構想だった。計画自体は玉城県政より前に始まったが、玉城県政はこれを引き継ぎ、民間資金を使う方式で事業化を進めた。結果は厳しかった。2024年の入札では、参加表明が1件もなかった。県は2025年2月、民間資金を活用する事業としての選定を取り消した。行政が「成長につながる」と期待した事業に、提示された条件で手を挙げる企業がゼロだったのだ。
その理由を県自身が検証している。有識者委員会では、ホテルの宿泊需要や採算、展示場とホテルを一体で開発する難しさ、建設費の上昇が問題になった。県内にはすでに沖縄コンベンションセンターがある。大型催事の数が限られ、他県とも競争する中で、既存施設との共存ができるのか、と疑問視する意見も出ている。 【次ページ】見え隠れする「同じ轍」の危険
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