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  • 2026/05/15 掲載

県民所得は最下位…沖縄経済が低迷するワケ、シンガポール流「利益流出」止める逆転法

連載:小倉健一の最新ビジネストレンド

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ここ数十年で目覚ましい発展を遂げ、いまや1人当たりGDPで日本を大きく上回るシンガポール。その軌跡は、同じく島しょ部でありながら、経済的に低迷を続ける沖縄にとって最大のヒントとなると、元プレジデント編集長の小倉健一氏は指摘する。沖縄経済が置かれている「現在地」はどうなっているのか、そして、強靭な産業基盤を確立するには何が必要なのか。小倉氏が“シンガポール流の処方箋”を解説する。
執筆:ITOMOS研究所所長 小倉 健一

ITOMOS研究所所長 小倉 健一

1979年生まれ。京都大学経済学部卒業。国会議員秘書を経てプレジデント社へ入社、プレジデント編集部配属。経済誌としては当時最年少でプレジデント編集長。現在、イトモス研究所所長。著書に『週刊誌がなくなる日』など。

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シンガポールと沖縄の共通点から経済発展の在り方を考える
(画像:本文をもとにAI(Gemini/Nano Banana)で作成)

シンガポールから考える「島しょ部」の経済発展

 現在、シンガポールのリトルインディアにある、インド系ビジネスパーソンで賑わう安ホテルの一室でパソコンに向かって、この原稿を執筆している。窓の外から聞こえてくる喧騒や、街全体から立ち上るすさまじい熱気と活力を肌で感じていると、遠く離れた沖縄の現状に思いをはせずにはいられない。

 シンガポールと沖縄。ともに第2次世界大戦で甚大な被害を受け、焼け野原から出発した海に囲まれた地域である。独立国家と一地方自治体という権限の違いがあるとはいえ、現在の両者が持つ経済的な勢いには、大きな差がある。

 沖縄の政治空間を見渡すと、県知事選挙や国政選挙において、長年にわたり普天間飛行場の辺野古移設問題が最大の対立軸として扱われ続けている。基地負担の軽減を経済自立の前提とする立場と、政府や経済界と連携して現実的な成長を描こうとする立場。両者の違いは明確であるものの、日々のニュース報道や新聞の社説、テレビの討論番組においても、議論は常に基地問題へと収斂しがちである。

沖縄経済の「現在地」とは

 もちろん、基地の是非を問う議論が欠かせないのは言うまでもない。しかし、世間の耳目が1つの問題ばかりに奪われている間にも、沖縄社会の足元では、経済的に深刻な危機が進行している。感情論を排して直視すべきは、経済格差と貧困の客観的なデータだ。

 2022年度の1人当たり県民所得は224万9,000円にとどまり、全国平均の68%に過ぎない。47都道府県の中で最下位という記録が続いている。子どもの相対的貧困率に至っては29%に達し、全国平均のおよそ2倍というワースト1位の水準に沈没している。学力調査に目を向けても、中学校数学の正答率が全国平均を10ポイント以上も下回るなど全国最下位クラスにあり、大学等進学率も46%と全国最低レベルで低迷を続けている。

 低所得、子どもの貧困、教育水準の低迷は密接に連動している。人材流出や教育格差の拡大を見過ごしてはならない。次世代を担う優秀な若者が将来に希望を持てず、沖縄県外へと去っていく現状を変えなければ、明るい未来は決して望めない。 【次ページ】変えるべき経済の「構造的リスク」
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