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  • 2009/03/30 掲載

BCMとは(4)BCMにおけるITサービス継続の重要性

ERMを中心とする内部統制とBCMとの関係整理

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事業継続マネジメント(BCM)は、ここ数年、各分野において注目され、用語としても定着してきた。また、組織における戦略マネジメントシステムおよびIT Continuity(IT継続)とBCMとの連携も今後ますます重要なものとなってくると見られる。しかしながら、BCMという用語のみが一人歩きし、事業継続マネジメントシステム(BCMS)のフレームワークを理解することなく、何となく従来の防災やリスクマネジメントの延長としてBCMを展開している企業も少なくないのではないだろうか。本連載では、BCI(Business Continuity Institute)日本支部 事務局長の前田 泉氏が、BCMとは何なのかを改めて問うとともに、BCMで求められる背景や戦略マネジメントのかかわりなどについて解説する。

前田 泉

前田 泉

BCI日本支部 事務局長。千代田化工建設の法務部において国際契約、各種プロジェクト契約のリスク審査などに従事。その後、Johnson&Johnson法務部、コンピュータ・アソシエイツ 人事法務統括部長、ソフトバンク・テクノロジー 法務部長、総務人事部長などを経て現職。NPO日本リスクマネジャー&コンサルタント協会 評議員/教育分科会委員/認定講師、JIPDEC 情報セキュリティ専門部会委員等。

BCMにおけるITサービス継続の重要性

 今回は、BCMにおける「ITサービス継続の重要性」について改めてみていこう。歴史を振り返れば、2007年にBSI(英国規格協会)から発行された「BS25999-2」で事業継続マネジメントシステム(BCMS)が規格化される以前から、実はITサービスおよび情報セキュリティ分野において事業継続を支える「ITの継続性」は非常に重要視されていた。

 2002年6月に米国国立標準技術研究所(NIST) が発表した「SP800-34 Contingency Planning Guide for Information Technology Systems(IT システムのための緊急時対応計画ガイド)」では、ITにおけるBCM戦略について、代替サイトの特徴を表1のようにまとめている。同ガイドは、リカバリ戦略における予算計画についても表2のテンプレートを提供している(原文PDF)。

表1 サイトの種類と特徴
名称費用ハードウェア機器の有無通信機器の有無稼動開始準備時間場所
コールドサイト固定
ウォームサイト部分的に有部分的~全て有固定
ホットサイト中~高全て有全て有固定
モバイルサイト場合による場合による場合による非固定
ミラーサイト全て有全て有固定
出典:NIST, Contingency Planning Guide for Information Technology Systems,NIST Special Publication 800-34,June 2002


表2 リカバリ戦略における予算計画表テンプレート
対象種類ベンダーコストハードウェアコストソフトウェアコスト旅費/搬送費労務費/外注費テストコストサプライコスト
代替サイトコールドサイト       
ウォームサイト       
ホットサイト       
モバイルサイト       
ミラーサイト       
オフサイト・ストレージ商用       
社内       
機器交換SLA       
ストレージ       
既存の利用       
出典:NIST, Contingency Planning Guide for Information Technology Systems, NIST Special Publication 800-34,June 2002

 ITサービス継続マネジメントに関しては、英国規格協会(BSI)より、2006年8月にPAS77(IT Service Continuity Management:ITサービス継続マネジメント)が公開された。これとBCMのマネジメント規格「BS25999-1」との整合性を調整しながら、2008年には「BS25777-1」として公開され、2009年には第三者認証規格「BS25777-2」として公開される予定となっている。こうした流れを受けて、日本でも経済産業省から、2005年には「事業継続計画策定ガイドライン」内閣府から「事業継続ガイドライン」が公開され、さらに2008年9月には経済産業省より「ITサービス継続ガイドライン」が発表されている。なぜBCMのガイドライン策定の後に「ITサービスの継続」が来るのか。それは、内部統制におけるIT統制が重要視されるのと同様、事業継続マネジメント(BCM)を支える基盤として、「ITの継続」と「ITを通じて収集・集積されるデータの活用」が大変重要なものとなってきているからだ。また、ITの活用とデータの重要性が増せば増すほど、情報セキュリティも当然、重要になってくる。まず、実例として、データ活用およびデータの重要性について具体的な事例を交えてご紹介しよう。

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