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- 2024/08/29 掲載
AI予測が「高精度」とは言い切れない納得理由、台風10号に学ぶ「予測情報の生かし方」
【連載】現役サプライチェイナーが読み解く経済ニュース
需要予測と気象予報は似ている
台風10号が、非常に強い勢力で日本を直撃。過去最強クラスとも言われ、これまでにないほどの暴風や高波、記録的な大雨の可能性が危惧されています。列車の計画運休や航空機の欠航、道路の通行止めなど交通機関が大きく乱れているほか、家屋の倒壊などへの注意喚起も出されており、甚大な被害をもたらす可能性があります。多くの人はこうした未来予測の情報を踏まえながら、その日に何をするのか、どう行動するのかを決めていることでしょう。過去の本コラムでも取り上げましたが、実はビジネスにおける需要予測と気象予報はかなり似ています。どちらも因果関係を踏まえた最新情報を収集し、AIなどの高度なモデルを使って未来を予測します。
需要予測には複数のモデル(図1)がありますが、今回の台風10号の規模や進路の予測についても複数の予測モデルによる結果が提示されていました。
たとえば、地球全体における各地の気圧、気温、風向風速、水蒸気量などの観測データを分析する全球モデルによる予測や、日本の周辺にフォーカスして分析するメソモデルによる予測などが発表されていました。ただ台風の規模や進路の予測については、どちらの方が精度が高いかは言いづらいそうです。
これは筆者の推測ですが、全球モデルでは日本から遠く離れた場所の大気の条件も考慮できる一方、分析するための単位(地図を格子状に区切った範囲)が粗くなるため、どちらのほうが高精度か、ということにはならないのだと思います。
ビジネスにおける需要予測も同じで、必ずしも高度なAIモデルの精度が高いわけではないのです。
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