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  • 2009/06/26 掲載

「本気で中堅企業に焦点を当てて取り組んでいく」富士通グループの新たな中堅市場戦略を聞く

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富士通は5月21日、緊急記者会見を開き、同社の有力子会社である富士通ビジネスシステム(以下、FJB)を完全子会社化し、10月1日から「新生FJB」を富士通グループの中堅市場攻略の中核会社とすると発表した。プロダクトビジネスから利益・成長の両立を実現できるサービスビジネスへのシフトを進めつつ、国内の営業体制の再編を狙いにした富士通グループの中堅市場開拓の戦略について、FJB 経営企画室長 本江泰彦氏とFJB マーケティング本部 本部長代理 羽富靖彦氏に聞いた。

丸山隆平

丸山隆平

経済ジャーナリスト。1972年日刊工業新聞社入社、以降88年まで第一線の経済・産業記者として活躍。経団連、NTT、通産省、郵政省、労働省、東京商工会議所、各記者クラブ所属、米国特派員を経験。情報通信、コンピューター・ソフトウエア産業草創期から取材。コンピューター・OA、情報通信、経営問題関連の執筆・著作多数。1989年から投資家向け広報(IR)コンサルタントとして内外の企業IR・PRをサポートしている。

中堅市場で年率5%以上の成長を目指す


富士通ビジネスシステム
経営企画室長
本江 泰彦氏

 富士通は、国内大手市場について、従来は業種・地域で分かれていた営業体制を、1.金融、2.社会基盤、3.公共、については業種別に、さらに自治体、医療、文教、流通などについては、地域別と組み合わせた形に再編し、リソースの有効配分と業種専門のスキルアップを図る。

 中堅市場については、2008年度のグループ全体で、3,500億円の売上高の実績を持つ。そのうち、FJBの売り上げは約500億円だが、2013年度までの5ヵ年間に年率5%以上の成長を目指し、グループ全体で中堅市場の売上を5,000億円程度にまで引き上げることを目標とする。

「競業各社を見渡したときに、本気で中堅企業に焦点を当てて取り組んでいるところはあまりありません。大手企業ビジネスを手がける合間に中堅も、というスタンスが多いと思います。当社はこれまで中堅市場には“想い”を持って取り組んでおり、今後も、『ここで生きる』という覚悟を持って臨みたいです」と、FJB 経営企画室長 本江泰彦氏は熱く語る。

 とはいうものの、中堅企業を取り巻く現下の厳しい経済環境を鑑みると、どうしても冷静にならざるをえない。FJB マーケティング本部 本部長代理 羽富靖彦氏は次のように指摘する。

「昨年の春と比べると、金融不安により環境は一変し、中堅・中小企業市場の状況は悪化しています。ただ、IT投資が完全にストップしたということではなく、どこにきちんとした投資を行うか、各企業が真剣に検討されています。また、環境関連や法改正に関係する部分など、会社が存続する以上、景気と関係なく手を打たなければならない分野は投資が引き続いているので、こうしたトレンドを見据えたなかで、お客様に適切な提案を行っていくことが必要だと考えています」

 かつて、富士通は中堅企業へと対象顧客を拡大する一方で、FJBは大企業へと対象顧客を増やす傾向にあり、グループ内で共食いが発生していた。こうした流れからみたとき、中堅企業に特化することに問題はないのだろうか。

「確かに、1社当たりで見ると、中堅企業の予算は大企業に比べて少ないかもしれませんが、そもそも企業数が多いのです。そのため、現状はお客様からの要望に対して、手が回りきらないのが実情です。率直なところ、富士通との関係強化あるいは販売パートナー様を含めて対応するなかで、より多くのお客様に効率的に対応できるため、新しくできることも増えてくるとみています」(本江氏)

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