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2009年10月08日

【ITが実現するノウハウマネジメント:第6回】ハイパフォーマーを増やす

ノウハウは、人・モノ・金・情報に次ぐ、経営の第5のリソースである。ノウハウをマ ネジメントすることで、経営革新の新しい扉を開くことができる。先行企業では、 ITを用いてノウハウマネジメントを支援し、革新を進めている。本連載では、ノ ウハウマネジメントとこれを支援するシステムの事例、背景にあるノウハウマネジ メントの考え方を紹介していく。

執筆:アクト・コンサルティング 取締役 経営コンサルタント 野間 彰

1.プロフェッショナル・ノウハウ

 業務をよりうまく実施するための、思考・行動方法。業務遂行の基本となる考え方である。一般的にノウハウという場合、これを指していることが多い。ハイパフォーマーは、プロフェッショナル・ノウハウを「短い言葉」に集約して心に留め、これを常に実践している。この短い言葉は、「プロフェッショナル・ノウハウ」として体系化し、教育や標準化によって組織内に普及させることできる。


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図1:プロフェッショナル・ノウハウの体系化と普及


2.ノウハウマネジメント・ノウハウ

 ハイパフォーマーは、上記「プロフェッショナル・ノウハウ」とは別に、これらのノウハウを生み出し、活用し、部下に伝えるノウハウ(ノウハウマネジメント・ノウハウ)を持っている。ノウハウマネジメント・ノウハウを持っている人間は、以下の人材ビジョンを達成している。

【1】自分が無意識に実践しているノウハウを振り返り、正確に論理的に認識できる
【2】自分がまだ気づいていない、他者が実践しているノウハウを獲得できる
【3】日々の業務のなかから気づきを得て、そこから新たなノウハウを創造しつづけることができる
【4】以上の方法で獲得したノウハウを実践し、業務品質を向上させることができる
【5】部下に足りないノウハウを特定し、これを直接指導することができる


 プロフェッショナル・ノウハウの普及方法を見てみよう。ハイパフォーマーは、大物のプロフェッショナル・ノウハウを5個前後、小物を含めると30〜40個のプロフェッショナル・ノウハウを持っている。そこでまず、これらノウハウの抽出体系化を行う。具体的には、組織機能、人材レベル別に、ハイパフォーマーを厳選し、彼らのノウハウを体系化、ノウハウ・ブックとしてまとめる。また、体系化したノウハウの、企業戦略や中長期計画に対する適合度、一般社員の能力との比較を行い、企業として普及すべき重要ノウハウを確定し、人材レベル別達成水準を定める。これらを、既存の人材育成制度に統合し、すべての社員に、重要ノウハウを計画的に身に付けさせるのである。


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図2:ノウハウの人材育成制度への組み込み


 この場合抽出体系化するのは、ノウハウであり、コンピテンシーモデルで行われる行動特性ではないことに注意が必要である。重要なのは、ハイパフォーマーのノウハウを抽出し、何故そのような秀でた行動特性を成しえることができるか、そのロジックを体系化することである。

 たとえば、研究開発部門の若手ハイパフォーマーは、学会や共同研究などの場で、積極的に社外有識者と交流を深め、やがて何でも相談できる間柄になり、この人脈を活用して知的生産性を高めていた。研究開発部門では、「社外有識者と積極的に交流すること」は奨励されていたが、学会に行っても、誰ともしゃべらずに帰ってくる若手も多かった。マネジメントは、このような行動特性の差はキャラクターの違いであり、消極的で恥ずかしがりやのキャラクターは、どうしようもないと考えていた。

 実はこの若手ハイパフォーマーは、自らを恥ずかしがりやで人としゃべるが苦手と評価していた。しかし「社外キーマンと計画的に人脈を深める」というノウハウを持っているため、積極的な行動を引き起こせた。このノウハウが持つ、成果を上げるロジックは以下である。


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図3:ノウハウの持つ「成果を上げるロジック」を記述する4象限のマトリクス


 プロフェッショナル・ノウハウの体系化と人財育成制度への組み込みによって、一人ひとりの社員が、ハイパフォーマーに近づくために何をどのように進めるべきか、認識することができる。これによって、すべての社員の思考と行動を、ハイパフォーマーに近づけることが可能となる。

 次に、ノウハウマネジメント・ノウハウの修得方法を見てみよう。先に示した人材ビジョンを達成するために、弊社ではノウハウマネジメント・ノウハウの方法論を確立している。本方法論を用いて、5人前後を対象に、1回2時間のOJTを10回前後、3〜6カ月で実施し、修得を図る。

 たとえば、ノウハウの持つ「成果を上げるロジック」を明確化するために、自分のノウハウを先に示した4象限のマトリクスに正確に記載させ、講師が論理矛盾や不備を指摘することを繰り返し、やがてノウハウを成果を上げるロジックとして明確化する能力を獲得させる。

 ノウハウマネジメント・ノウハウ修得のOJTは、以下の階層別に実施する。

1)新人、一般社員教育
「気付きをもとに内省し→ノウハウを仮説し→実行して成果を上げ→ノウハウを完成させる」という、ハイパフォーマーが持っている「学ぶ力」を、社員に修得させる

2)管理職教育
管理職向け教育では、上述の新人・一般社員向け「学ぶ力」に加えて、「意図して必要なノウハウを獲得・創造する力」、「生み出したノウハウを同僚と交換し切磋琢磨する力」、「自分が任された組織に必要なノウハウを特定しこれを組織に定着させる力」を修得させる

 これらの教育では、定期的に同格社員を集めた会議を開き、ノウハウ創造・実行・成果獲得結果を交換・共有することで、自分のノウハウマネジメント力が同格社員の中で十分なのか不足しているのかポジションを認識させる。これによって、修得を加速する。遠隔地の場合、社内ブログやメーリングリストを用いた共有を行っている。


≪次回へつづく≫

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