• 2010/04/28 掲載

【民主党藤末氏コラム】9万人の沖縄県民集会でますます新政権に大きな壁となった「普天間問題」 これをどう見るか?(2/2)

連載『ふじすえ健三のビジネス+IT潮流』 

  • icon-mail
  • icon-print
  • icon-hatena
  • icon-line
  • icon-close-snsbtns
記事をお気に入りリストに登録することができます。

何が問題か?

 このままだとマスコミが指摘するように5月末の合意は不可能である。
では、なぜこのような状況が生じたのかを私なりに考えると、日本政府の対応にはいくつかの問題点がある。

 1つめは、現地の意見を聞くタイミングが遅い点。やはり国内と外交調整といったツーレベルの交渉を並行して行う必要があった。2つめは、省庁がバラバラに行動しているという点。外務省と防衛省が個別に動いているのが国会からも見えてくる。外務省は米国務省と連絡し、防衛省は米国防省と連絡しており、その連携が取れていない。そして、総理の周りに外交情報を提供する人材がいない点が3つめだ。総理の近くに外務省出身の議員がいればもっと現場の情報が入るのではないかと今でも思っている。やはり事務方の正規ルートの情報だけだと現場感覚とは違う判断になる。鳩山総理の大臣としての経験不足が根底にあるのではないか。

 そして連立3党の足並みもそろっていない。社民党が米領グアム・テニアン島、国民新党が現行計画に近いキャンプ・シュワブ陸上部(沖縄県名護市)などを移設先とする案をそれぞれ提示。この不一致が鳩山政権に対する不安をあおっていることは間違いない。ただ、一方的に日本に瑕疵があるわけではない。米国側も基地移転を含む国防予算計上のタイミングもあり、あせって移転先の決定を迫っている。これは米側のミスであるともいえる。

これからどうなるか?

 民主党の一員としては、5月末に結論が得ることを信じるしかない。ただ、鳩山政権が目指す5月末までの決着が困難になっているのを受け、米政府は飛行場を継続使用していくとの判断を固めていると聞く。このままだと「現状のまま」ということになりかねない。もし5月中に政府間で「当面現状維持」と合意しても地元が納得しなければ解決したことにはならない。

 米側も現在の普天間基地で事故が起き、反米軍運動が起きることを恐れている。沖縄の方々だけでなく、米側も住民に対する危険が少なく基地を欲しているのだ。
私は「日米安保のあり方も含めた長期的な視点から普天間基地移転の再検討」を集中して行うことを合意するしか道はないと思っている(沖縄県民や国民が納得してもらえるよう明確な説明が前提である)。米側の意見や沖縄の方々の話を聞き、基地の移転については、わが国の安全保障のあり方を根本から考えないといけない。安全保障の問題を短期的な視点で議論することは危険性が高い。中国が軍備を拡大し、北朝鮮がデノミに失敗し経済が不安定化している中、日米の安全保障面での協力がどうあるべきか、今こそ国民レベルで議論すべきではないか。

日米安保以外の日米協力を進めるべき

 私は、日米安保50周年でもある今が「日米両国の民主党のパートナーシップによる外交の新基軸」をつくるいい機会だと思っている。

日米両国の民主党のパートナーシップによる外交の新基軸

1) 破綻国家における平和構築
2) 核兵器削減交渉
3) 環境エネルギービジネスでの協力

 たとえば、国務省からも報告書が出ているが、「破綻国家における平和構築」がある。アフガン、イラクの治安回復だけでなく、非中東イスラム国のマレーシア、インドネシアの安定化への協力を日米で行うことだ。わが国はアジア諸国における信頼性が高く、アメリカの期待に応えることができる。

 次にあるのは「核兵器削減交渉」。来月にもNPT運用討会合が国連で開催される。日米協力の下で核不拡散の新たな枠組みを打ち出すべきであり、特に中国の核軍拡を止めるには日米の協力が不可欠である。

 そして、「環境エネルギービジネスでの協力」である。ルース大使はシリコンバレー出身であり最新技術に造詣が深い。すでに日本の環境エネルギー関連企業経営者に面会を進めている。日米政府間で枠組みを作れば、日本の環境エネルギー技術をアメリカのビジネス構築力をあわせて世界でビジネスを掘り起こすことができると考えている。

 このように普天間基地移転の問題は、「安全保障全体から見た長期的なプランを示すこと」と「日米の新たな協力のパートナーシップを構築すること」により対応するしか道がないと考えている。
 何も対応ができなかった場合は、鳩山政権も民主党も大きな非難を受けることになろう。 [[ENQUETE ID=10185 ]]

関連タグ

関連コンテンツ

あなたの投稿

    PR

    PR

    PR

処理に失敗しました

人気のタグ

投稿したコメントを
削除しますか?

あなたの投稿コメント編集

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

通報

このコメントについて、
問題の詳細をお知らせください。

ビジネス+ITルール違反についてはこちらをご覧ください。

通報

報告が完了しました

コメントを投稿することにより自身の基本情報
本メディアサイトに公開されます

必要な会員情報が不足しています。

必要な会員情報をすべてご登録いただくまでは、以下のサービスがご利用いただけません。

  • 記事閲覧数の制限なし

  • [お気に入り]ボタンでの記事取り置き

  • タグフォロー

  • おすすめコンテンツの表示

詳細情報を入力して
会員限定機能を使いこなしましょう!

詳細はこちら 詳細情報の入力へ進む
報告が完了しました

」さんのブロックを解除しますか?

ブロックを解除するとお互いにフォローすることができるようになります。

ブロック

さんはあなたをフォローしたりあなたのコメントにいいねできなくなります。また、さんからの通知は表示されなくなります。

さんをブロックしますか?

ブロック

ブロックが完了しました

ブロック解除

ブロック解除が完了しました

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

ユーザーをフォローすることにより自身の基本情報
お相手に公開されます