爆発的に増加する情報、これまでは保存されなかった新しいタイプの情報、ツールごとにバラバラの情報蓄積、なくならない紙文書……等々。企業を取り巻く情報環境は複雑さを増している。そこで注目されているのがECM(Enterprise Contents Management)だ。
ECMは10年ほど前から出てきた考え方で、「組織のプロセスに関連するコンテンツや文書を収集・管理・蓄積・保護・配布するための技術、ツール、手法」のことを指す。
「たとえば、Webサイトを作成するときは、情報を収集し、コンテンツを作り、公開し、バージョン管理を行い、古くなり情報の価値がなくなればコンテンツの更新・廃棄を行います。それと同じ考え方で企業内のあらゆる情報も同様にその価値に応じた適切な管理を実現しようとするのが、ECMの基本的な考え方です。」(平古場氏)
したがって、特定のツールや手法のことではなく、「ワークフロー」や「文書管理」なども含んだより大きな概念が「ECM」ということになる。
また、情報を適切に管理するために、必要に応じて最適なツールを採用することも必要だ。すこし、漠然とした印象を受けるかもしれないが、たとえば、先進的な事例として、RFIDのチップを活用した文書管理ソリューションなども、ECMのひとつということが言える。
「文書管理の中心が紙の場合ですが、あらかじめ稟議書にRFIDのチップを貼ると、稟議箱に入れるだけでセンサーが読み取って、『誰が承認したのか』『いま、どこまで承認されているか』といった状況管理ことがシステム側でも確実にわかるようになります。また『この情報は3年後に廃棄』『半年ごとの確認が必要』といった情報を書き込んだチップを文書や文書を保管する段ボールに貼り付けることで、文書の紛失を防いだり、システムとの整合性をとったりするケースもあります。」(平古場氏)
伊藤氏が基調講演に登壇する
9月16日開催「ワークフロー改善 ECM活用セミナー~他社に差をつける文書管理のポイントとは?」では、このECMの全体像とともに、具体的なソリューションも紹介される予定だ。ぜひ足を運んで、今後の情報爆発への備えとしていただければと思う。
(取材・執筆 井上健語)